写真をイラスト調に!精密なテクニカル・イラスト風

写真をイラスト調に!精密なテクニカル・イラスト風

【Photoshop講座】写真ではわかりにくい部分を精密に描き出す「テクニカル・イラストレーション」は、自動車や家電製品などの技術的な情報を、視覚的に伝達するための技法です。カーマニアの興味をグッと掴むポイントは、シャープなシルエットと克明な陰影。写真の生っぽさを消し、エアブラシで描かれたような精悍なタッチで仕上げましょう。


フラットと隈取りの最強タッグ!
写真を言い換えるなら「ノイズの集合体」です。一方、テクニカル・イラストレーションの特徴は、タッチを感じさせないリアルな描写です。コントラストを強くすると階調が飛んでしまうし、誇張した補正はノイズの出現を招きます。この2つを解消させるにはどうしたらいいか? その答えが、このレッスンには含まれています。ノイズのないフラットな面にグラデーションを発生させる技を習得しましょう。
面をぼかして輪郭をシャープに
これから行う操作は、写真をテクニカル・イラストレーション風に加工する方法です。写真の暗い部分を明るくすると、それだけでイラストっぽくなります。課題はノイズの解消とハイコントラストの共存です。[ぼかし(詳細)]と[アンシャープマスク]を使用して、面をぼかして輪郭をシャープにしましょう。
元画像→精密なテクニカル・イラスト風
背景を白く塗りつぶす
素材画像をダウンロードして開きます。素材画像は、[幅:1280 pixel]、[高さ:1280 pixel] 、[解像度:72 pixel/inch]、[モード:RGBカラー]を使用しています。
このレッスンでは、作業に必要なパスをファイルに保存しています。作品に応用する場合は、あらかじめ、主体を切り抜くパスを作成するか、レイヤーマスクなどで正確な選択範囲を作成してください。
素材画像を開く
素材画像を開く
[パス]パネルで、[パス 1]を[command(Ctrl)]キーを押しながらクリックして、オープンカーの選択範囲を作成します。
[command(Ctrl)]+クリック
[command(Ctrl)]+クリック
すると、オープンカーの境界線に選択範囲が作成されます。選択範囲が作成されたことを確認したら、[shift]+[command(Ctrl)]+[I]キーで、選択範囲を反転します。
パスから選択範囲を作成→選択範囲を反転
[レイヤー]パネルで、[塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成]をクリックし、メニューから[べた塗り]を選択して、[べた塗り 1]を作成します。[カラーピッカー]ダイアログで、新しい色に[ホワイト]を設定し、[OK]をクリックします。
[ホワイト]を設定した[べた塗り 1]を作成
[ホワイト]を設定した[べた塗り 1]を作成
オープンカーを切り抜き、背景を白く塗りつぶすことができました。
背景を白く塗りつぶすことができた
背景を白く塗りつぶすことができた
べた塗りで切り抜く方法!
選択範囲を作成して、塗りつぶしまたは調整レイヤーを作成すると、選択されていない領域を隠すレイヤーマスクが自動的に作成されます。切り抜くオブジェクトの背景を選択しておくと、その部分が一気に塗りつぶせるワケです。作例では、切り抜き状態でさまざまな効果を確認したいので、[べた塗り]で背景を白く塗りつぶす方法を取りました。
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窓ガラスを塗りつぶす
窓ガラスは透明ですが、フレームのみでは不自然です。座席部分には、空色に影響して反射するガラスの存在が感じられるので、その色に合うようなグラデーションで塗りつぶしましょう。[パス]パネルで、[パス 2]を[command(Ctrl)]キーを押しながらクリックして、窓ガラスの透明部分に選択範囲を作成します。
[command(Ctrl)]+クリック
[command(Ctrl)]+クリック
すると、窓ガラスの透明部分に選択範囲が作成されます。
パスから選択範囲を作成
パスから選択範囲を作成
[レイヤー]パネルで、[塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成]をクリックし、メニューから[グラデーション]を選択して、[グラデーション 1]を作成します。
[グラデーション 1]を作成
[グラデーション 1]を作成
[グラデーションで塗りつぶし]ダイアログで、[クリックでグラデーションを編集]をクリックし、[グラデーションエディター]ダイアログを表示します。
[クリックでグラデーションを編集]をクリック
[クリックでグラデーションを編集]をクリック
[グラデーションエディター]ダイアログで、窓ガラスの透明部分の色を設定して、[OK]をクリックします。
[グラデーションエディター]ダイアログを設定
[グラデーションエディター]ダイアログを設定
[位置:0%][カラー:H190 S10 B90]
[位置:100%][カラー:H210 S20 B80]
[グラデーションで塗りつぶし]ダイアログで、[角度]に「-15」を設定し、[ディザ]にチェックマークを入れて、[OK]をクリックします。
[角度]に「-15」を設定
[角度]に「-15」を設定
窓ガラスの透明部分をグラデーションで塗りつぶすことができました。
STEP 1→グラデーションで塗りつぶす
ディザとは?
[ディザ]とは、グラデーションが縞状になってしまうことを防ぐオプションです。グラデーションを限られた色のパターン(ピクセルドットで間引かれた粒子)にして、階調が段階的な縞状になってしまう現象「バウンディング」を防ぎます。
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暗い部分を明るくする
[レイヤー]パネルで、[背景]を選択します。[レイヤー]メニューから、[スマートオブジェクト]→[スマートオブジェクトに変換]を適用します。
スマートオブジェクトを確認
スマートオブジェクトとは?
[スマートオブジェクトに変換]を適用すると、選択したレイヤーが「スマートオブジェクト」に変換されます。スマートオブジェクトにすることで、適用後の色調補正やフィルターが再編集できます。[背景]に適用すると、レイヤー名が[レイヤー 0]に変更され、[背景]では設定できなかった[描画モード]や[不透明度]、[位置をロック]などが有効になります。
[イメージ]メニューから、[色調補正]→[シャドウ・ハイライト]を選択します。[シャドウ・ハイライト]ダイアログで、[シャドウ]セクションの[量]に「50」%を入力、[ハイライト]セクションの[量]に「10」%を入力、[調整]セクションの[カラー]に「0」を入力して、[OK]をクリックします。
[シャドウ・ハイライト]ダイアログを設定
[シャドウ・ハイライト]ダイアログを設定
タイヤのトレッドパターンなどの暗い部分を明るくすることができました。
STEP 2→[シャドウ・ハイライト]を適用
シャドウ・ハイライトとは?
[シャドウ・ハイライト]とは、画像を単に明るくしたり暗くしたりするだけでなく、シャドウ、ハイライトのそれぞれの領域で詳細な調整ができる機能です。たとえば、逆光で暗くなった被写体を明るくする場合に適しています。
作例では、オープンカーのボディのハイライト部分に階調が欲しいので、[ハイライト]セクションで少し暗くなるように設定しています。また、鮮やかな赤色は階調を失いやすいので、[調整]セクションの[カラー]の初期設定「+20」から「0」に下げています。
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ノイズを消して面を滑らかにする
[フィルター]メニューから、[ぼかし]→[ぼかし(詳細)]を選択します。[ぼかし(詳細)]ダイアログで、[半径]に「3」、[しきい値]に「8.1」を設定して、[OK]をクリックします。
[ぼかし(詳細)]ダイアログを設定
[ぼかし(詳細)]ダイアログを設定
ノイズを消して面を滑らかにすることができました。
STEP 3→[ぼかし(詳細)]を適用
ぼかし(詳細)とは?
画像全体、または選択範囲の画像を単にぼかすのではなく、対象画像の情報から輪郭を検出し、ぼかしの対象外にすることができる高機能「ぼかしフィルター」です。[しきい値]は、輪郭を維持するレベル値で、初期設定では「8.1」が設定されています。[半径]は、ピクセルをブレンドする距離で、ノイズを消す数値としては、「3」が最小値であると考えていいでしょう。
輪郭を強調しながら面に調子をつける
[フィルター]メニューから、[シャープ]→[アンシャープマスク]を選択します。[アンシャープマスク]ダイアログで、[量]に「100」%、[半径]に「24.4」pixelを設定して、[OK]をクリックします。
[アンシャープマスク]ダイアログを設定
[アンシャープマスク]ダイアログを設定
輪郭を強調しながら面に調子をつけることができました。
STEP 4→[アンシャープマスク]を適用
アンシャープマスクとは?
画像の輪郭をくっきりさせる機能です。その原理は、階調が異なる隣接したピクセルの差(画像の境界)を強調することにより、くっきりした印象に近づけるものです。シャープネス処理の機能としては、シンプルで詳細な設定もできないので、多機能の[スマートシャープ]を使用することが多いですが、基本操作を知る上では扱いやすい機能です。
[半径]を大きくするとハローが出現する
[半径]を大きくするとハローが出現する
作例では、[アンシャープマスク]を利用して、輪郭を強調することはもちろん、滑らかな面にグラデーションの調子を付けています。[半径]を大きくすると、輪郭に光がぼけたようなハローが現れます。シャープネス処理では、このようなハローの出現は好ましくありませんが、写真の生っぽさを消すには有効な手段となります。
色調のバランスを崩す
[レイヤー]パネルで、[グラデーション 1]を選択します。[塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成]をクリックし、 メニューから[レベル補正]を選択して、[レベル補正 1]を作成します。
[レベル補正 1]を作成
[レベル補正 1]を作成
[属性]パネルの[レベル補正]ダイアログで、RGB各チャンネルごとに違う数値を設定します。[チャンネル]に[レッド]を選択します。[入力レベル]に[0/1.25/255]、[出力レベル]に[32/255]を入力します。
[チャンネル:レッド]を設定
[チャンネル:レッド]を設定
[チャンネル]に[グリーン]を選択します。[入力レベル]に[0/1.50/255]、[出力レベル]に[32/255]を入力します。
[チャンネル:グリーン]を設定
[チャンネル:グリーン]を設定
[チャンネル]に[ブルー]を選択します。[入力レベル]に[0/2.00/255]、[出力レベル]に[32/255]を入力します。
[チャンネル:ブルー]を設定
[チャンネル:ブルー]を設定
色調のバランスを崩すことができました。
STEP 5→[レベル補正]で色調のバランスを崩す
精密なテクニカル・イラスト風に加工することができました。
精密なテクニカル・イラスト風に加工することができた
精密なテクニカル・イラスト風に加工することができた
写真の生っぽさを軽減!
色調のバランスは、RGB 各チャンネルに異なる設定をすることで行います。作例では、元画像の色調補正が不要な状態(適した色調)なので、[入力レベル]の中間点のみを操作しています。イラスト調の共通したポイントである、影を明るくフラットな印象にするには、[出力レベル]のシャドウ点を浅く取ります。これらの組み合わせで、写真の生っぽさを軽減させます。

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