【Photoshop講座】漫画でよく見かける風景は、実際の写真をトレースしたものが多いです。スッキリ整理された線を素材から抽出して、ハーフトーンでそれっぽく仕上げましょう。
白地を活かす!
写真の生っぽさを消すひとつの方法に、陰影を少なくして白地を活かすことがあげられます。あとは輪郭線と墨入れにメリハリを付ければ、「マンガ風景」のムードを、一気に高めることができるでしょう。
漫画の風景カットのように加工
これから行う操作は、写真を漫画の風景カットのように加工する方法です。スマートオブジェクトに複数の色調補正やフィルターを加えて完成させます。

元画像をそのまま利用する方法なので、作例とは違うピクセルサイズの画像では、効果が発揮できないことがあります。他の素材に応用する場合は、あらかじめ、使用する画像の長辺をリサイズしてください。
影を起こしてモノクロにする
素材画像をダウンロードして開きます。素材画像は、[幅 : 1920 pixel]、[高さ : 1276 pixel] 、[解像度 : 72 pixel/inch]、[モード : RGBカラー] を使用しています。加工する素材は、陰影がはっきりした建物や乗り物など、線画になっても形状がわかりやすい写真が好ましいです。

素材画像を開く
photo by Free-Photos
[レイヤー] メニューから、[スマートオブジェクト] → [スマートオブジェクトに変換] を選択して適用します。

スマートオブジェクトを確認
スマートオブジェクトとは?
[スマートオブジェクトに変換] を適用すると、[背景] やレイヤーが「スマートオブジェクト」に変換されます。スマートオブジェクトにすることで、適用後の色調補正やフィルターが再編集できます。
[背景] に適用すると、レイヤー名が [レイヤー 0] に変更され、[背景] では設定できなかった [描画モード] や [不透明度]、[位置をロック] などが有効になります。
階調を滑らかにする設定
後の手順で、ポスタリゼーションの効果と輪郭線を抽出するため、あらかじめ、写真素材に含まれているノイズを除去し、階調を滑らかにしておきます。
[フィルター] メニューから、[ぼかし] → [ぼかし (表面)] を選択します。[ぼかし (表面)] ダイアログで、[半径] に「5」pixel、[しきい値] に「10」pixel を入力し、[OK] をクリックします。
![[ぼかし (表面)] ダイアログを設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2020/03/uf024_01b_01.png)
[ぼかし (表面)] ダイアログを設定
写真素材のノイズを除去し、階調を滑らかにすることができました。

輪郭を残して表面をぼかす!
[ぼかし (表面)] は、階調の段差ができている部分を中心線として、その周囲をブレンドすることにより、輪郭を残して表面をぼかします。[半径] はブレンドする距離で、[しきい値] は残す輪郭の幅です。
[半径] の数値が大きいほど滑らかになります。[しきい値] の数値で、輪郭の際立ちをコントロールできますが、大きくなりすぎると逆効果になるので気をつけましょう。
暗い部分を明るくする設定
[イメージ] メニューから、[色調補正] → [シャドウ・ハイライト] を選択します。[シャドウ・ハイライト] ダイアログで、[シャドウ] セクションの [量] に「50」% を入力し、[OK] をクリックします。
![[シャドウ・ハイライト] ダイアログを設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2020/03/uf024_01c_01.png)
[シャドウ・ハイライト] ダイアログを設定
暗い部分を明るくすることができました。

素材により適正値は違う!
[シャドウ・ハイライト] の適正値は、対象の素材により異なります。暗い部分を明るくする設定は共通しているので、素材が明るい場合には、[量] に「10」%、一般的には、[量] に「35」% を設定してください。再編集はいつでも行えます。
モノクロにする設定
[イメージ] メニューから、[色調補正] → [白黒] を選択します。[白黒] ダイアログで、初期設定を確認して、[OK] をクリックします。
![[白黒] ダイアログを設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2020/03/uf024_01d_01.png)
[白黒] ダイアログを設定
カラー画像をモノクロにすることができました。

カラー画像をモノクロにする
輝度を優先させたモノクロ?
素材画像によって、[白黒] の初期設定が適していない場合があります。たとえば、黄色と青色の見た目の違いが、モノクロ化によって現れにくい結果などです。そんなときは、カラーを「輝度」という観点で理論的に数値化したものを用いましょう。

カラーを形式的に表す「HSB」では、色相、彩度、明度の組み合わせによって、さまざまな色がつくり出されています。モノクロ化は、特定のアルゴリズム (計算方法) によって行われるもので、必要としない色相、彩度をどのように換算するかで結果も異なってきます。

輝度を優先させた設定値
輝度を優先させた論理的な設定値は、[レッド系 : 30%]、[イエロー系 : 89%]、[グリーン系 : 59%]、[シアン系 : 70%]、[ブルー系 : 11%]、[マゼンタ系 : 41%] です。