【Photoshop基本操作】モノクロ写真の一部分だけの色を残す「パートカラー」は、色の印象や主体を強調できるので、雑誌や広告の分野ではポピュラーな手法です。素材画像の「効かし色」を決めて、違和感のないマスクをスピーディに作成しましょう。
パートカラーは3原色に絞る!
3原色とは、透過する光の色 (加色混合) では、赤、緑、青、反射するモノの色 (減色混合) では、シアン、マゼンタ、イエローです。パートカラーにする色は、この中のいずれかの色に絞りましょう。そもそもパートカラーは、特定の色を強調させる目的があるので、白や黒、グレーなどの無彩色を選択する必要もないですね。

プリセットを利用する方法
これから行う操作は、プリセット (定義済みメニュー) から特定の色を選び、パートカラーを作成する方法です。パートカラーにしやすい色は、背景色と異なる「明度」が高い色です。反射するモノの色の中では、黄色がいちばん適しています。自動車のボディカラーだけを残して、他の領域をモノクロ化しましょう。

黄色の色域を指定する
素材画像をダウンロードして開きます。素材画像は、[ 幅 : 1280 pixel ]、[ 高さ : 850 pixel ]、 [ 解像度 : 72 pixel/inch ]、[ カラーモード : RGB カラー ] を使用しています。

素材画像を開く
[ 選択範囲 ] メニューから、[ 色域指定 ] を選択します。[ 色域指定 ] ダイアログで、[ 選択 ] に [ イエロー系 ] を選択します。
[ 階調の反転 ] を有効にして、[ OK ] をクリックします。
![[イエロー系]を選択して[階調の反転]を有効](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_01_02.jpg)
[ イエロー系 ] を選択して [ 階調の反転 ] を有効
選択した色の系統以外の領域に、選択範囲が作成されたことを確認します。

選択範囲が作成されたことを確認
黄色は異質のカラー!
定義済みメニューは、RGB スペクトルの色相環を基に、色相が大別されています。[ 選択 ] では、指定したい色域に、最も近い色相を選択します。作例で選択した [ イエロー系 ] は、他の色域と比べて「明度」が高く、色の要素で最も検知しやすい異質のカラーです。
![RGBスペクトルの色相環→[イエロー系]を指定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_01_04b.jpg)
選択範囲をモノクロにする
[ レイヤー ] パネルで、[ 調整レイヤーを新規作成 ] をクリックし、メニューから、[ 白黒 ] を選択して、[ 白黒 1 ] を作成します。
![[白黒1]を作成](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_02_01.jpg)
[ 白黒 1 ] を作成
選択範囲のレイヤーマスクが自動的に生成され、カラーを残したい部分以外がモノクロになりました。しかし、レイヤーマスク領域が不完全なので、全体的に少しカラーが残っています。

カラーを残したい部分以外がモノクロになる
レイヤーマスクを修正する
[ レイヤー ] パネルで、[ 白黒 ] レイヤーマスクサムネールを [ option ( Alt ) ] キーを押しながらクリックします。レイヤーマスクモードに切り替え
![[option(Alt)]+クリック](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_03_01.jpg)
[ option ( Alt ) ] + クリック
すると、ドキュメントが、レイヤーマスクモードに切り替わります。

オプションバーで、[ 選択範囲に追加 ] を選択します。ブラシサイズは任意で設定します。
![[選択範囲に追加]を選択](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_03_04.jpg)
[ 選択範囲に追加 ] を選択
ドキュメント内をドラッグして、選択範囲を作成します。対象の素材によって、詳細な選択や、ブラシによる描画が必要になることもあります。

ドキュメント内をドラッグして選択範囲を作成
[ 編集 ] メニューから、[ 塗りつぶし ] を選択します。[ 塗りつぶし ] ダイアログで、[ 内容 ] に [ ホワイト ] を選択して、[ OK ] をクリックします。
![[内容:ホワイト]を選択](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_03_06.jpg)
[ 内容 : ホワイト ] を選択
[ command ( Ctrl ) ] + [ D ] キーを押して、選択を解除します。レイヤーマスクを修正することができました。

レイヤーマスクを修正することができた
グレースケールの選択率!
[ 白黒 ] 調整レイヤーのレイヤーマスクは、白い部分が選択される領域で、黒い部分が選択されない領域です。つまり、白い部分に白黒の効果が適用されます。グレースケール画像には、白い部分と黒い部分の他に、曖昧な中間値も存在します。中間値はグレースケールの濃度によって、選択率に強弱が付けられます。

グレースケールの選択率
マスクの濃度を調整する
[ イメージ ] メニューから、[ 色調補正 ] – [ トーンカーブ ] を選択します。[ トーンカーブ ] ダイアログで、シャドウ点の調整ポイントをクリックして選択します。

調整ポイントを選択
[ 入力 ] に [ 64 ]、[ 出力 ] に [ 0 ]を入力します。
トーンカーブ上をクリックして、調整ポイントを追加します。
![[入力]と[出力]を設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_04_02.jpg)
[ 入力 ] と [ 出力 ] を設定
[ 入力 ] に [ 207 ]、[ 出力 ] に [ 128 ] を入力します。
[ OK ] をクリックします。
![[入力]と[出力]を設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_04_04.jpg)
[ 入力 ] と [ 出力 ] を設定
マスクの濃度を調整することができました。

マスクの濃度を調整することができた
[ レイヤー ] パネルで、[ 白黒 ] レイヤーサムネールをクリックして、ドキュメントを画像描画モード (通常表示) に切り替えます。画像描画モードに切り替え
![[白黒]レイヤーサムネールをクリック](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut186_01_04_07.jpg)
[ 白黒 ] レイヤーサムネールをクリック
プリセットを利用する簡単な方法で、黄色い自動車のパートカラーが完成しました。

プリセットを利用する方法でパートカラーが完成した
ハイライト点を保持!
レイヤーマスクの濃度を調整するコツは、ハイライト点を保持しながら、シャドウ点を削ることです。作例の場合、黄色の領域を黒で塗りつぶすことが目的ですから、その領域内にあるハイライト部分が、これ以上に明るく ( 白く ) なってしまうと困るワケです。

ハイライト点を保持したカーブを描く
[ トーンカーブ ] では、ハイライト点を現状のまま残して、シャドウ点を 64 レベルまで削って暗くしています。

フリーのグラフィックデザイナーです。カタログ、ポスター、パッケージなど様々な分野に携わってきました。