【Photoshop講座】イラストレーションは、自己表現する芸術や美術とは違い、公共的な情報伝達を行うことが使命です。雑誌やポスターなどの情報媒体では、より印象的でわかりやすい効果が求められるので、紙面を彩るヴィジュアルイメージに、イラストレーションが用いられることも多いです。躍動的なスポーツ写真を、カラーマーカーで描いた商業広告のイラスト風に加工してみましょう。
切り抜きで「らしさ」を演出!
スポーツ写真のように躍動するシーンは、背景から人物を切り抜くことがイラスト風の第一歩です。複雑な背景だったり、境界線が不鮮明だったり、切り抜きには高度なテクニックを要しますが、そこはイラスト風。大まかで不正確な部分が逆にいいこともあります。
レイヤーマスクで不要な部分をマスクしておくと、加工後にも再編集ができるので、効果に合った切り抜きが調整できます。グループにレイヤーマスクを作成すると、ひとつのレイヤーマスクで、複数のレイヤーに適用することができます。
肌色をやさしく髪を寒色系に
これから行う操作は、写真をイラスト調に加工する方法です。商業広告のイラスト風の特徴は、芸術性よりも直感的なアピール力です。多くのプロが愛用するカラーマーカーと白色の背景を用いれば、それは意外と簡単に表現できます。

しかし、作り手にその意識がなければ、お茶を濁すようなイラストになってしまうでしょう。何を伝えたいか? 情報伝達の手段であることを意識しましょう。
人物の背景を透明にする
素材画像を開きます。素材画像は、[幅 : 1280 pixel]、[高さ : 854 pixel]、 [解像度 : 72 pixel/inch]、[モード : RGB カラー] を使用しています。

素材画像を開く
Ronaldinho / photo by Alex Carvalho
人物の選択範囲を作成します。

人物の選択範囲を作成
グループの作成
[レイヤー] パネルで、[新規グループを作成] をクリックします。
[グループ 1] が作成されたことを確認します。
[背景] を [新規レイヤーを作成] にドラッグします。
[背景 コピー] が作成されたことを確認します。
![グループを作成して [背景] を複製](https://psgips.net/wp-content/uploads/2015/06/ill1_1_03.png)
グループを作成して [背景] を複製
複数のレイヤーをまとめて切り抜き!
複数のレイヤーに適用した効果を合成したい場合、単体の切り抜きレイヤー、または、レイヤーマスクを追加したレイヤーを合成することもできますが、そこにエッジの変化を含む効果があれば、グループ単位での一括した切り抜きの方がスマートです。
たとえば、オブジェクトの切り抜きを [選択とマスク] で行い、レイヤーマスクありで出力したレイヤーなら、そのレイヤーマスクをグループ単位で使うこともできます。
切り抜き用レイヤーの格納
[背景 コピー] をドラッグして、[グループ 1] の中に入れます。
[背景] の [レイヤーを表示 / 非表示] をクリックします。
[グループ 1] を選択します。
![[背景 コピー] をグループの中に入れる](https://psgips.net/wp-content/uploads/2015/06/ill1_1_04.png)
[背景 コピー] をグループの中に入れる
元画像を保護するための複製!
元画像を保持できるスマートオブジェクトなら、[背景 コピー] を作成することなく、複数のエフェクトが適用できますが、スマートオブジェクトのラスタライズは併用できません。念のため、[背景] を複製して、元画像を保護しておきましょう。
レイヤーマスクを追加
[レイヤーマスクを追加] をクリックします。
[グループ 1] にレイヤーマスクが作成されたことを確認します。
![[レイヤーマスクを追加] をクリック](https://psgips.net/wp-content/uploads/2015/06/ill1_1_05.png)
[レイヤーマスクを追加] をクリック
人物の背景を透明にすることができました。

人物の背景が透明になった
レイヤーマスクとは?
レイヤーマスクとは、画像の一部を隠すことができる機能です。たとえば、人物の切り抜きなど、詳細で正確な境界線が求められる場合や、合成画像を段階的にぼかして背景になじませたい場合に使用します。
