写真をイラスト調に!江戸時代の手摺り木版画風

写真をイラスト調に!江戸時代の手摺り木版画風

【Photoshop講座】木版画風のタッチは、輪郭から起こす力強い黒い線で作成しますが、写真素材が逆光などで暗い場合は、色を付けたい部分まで黒くつぶされてしまいます。あらかじめ、影を明るく鮮やかにしておくと、検出できる輪郭線もシャープにできます。完成を予測して作業を組み立てましょう。



複雑な効果を構造化する!

色調補正やフィルターなどが再編集できる「スマートオブジェクト」は、ひとつのレイヤーに複数の効果が適用できます。しかし、すべてが順当に適用されるわけではありません。たとえば、レイヤーの合成で得た効果にフィルターを適用したい場合、あらかじめ、ひとつのレイヤーに結合しておく必要がありますよね? このようなレイヤー結合も、スマートオブジェクトを構造化することで、再編集が可能な状態を保つことができます。

写真を手摺り木版画風に加工

これから行う操作は、写真を手摺り木版画風に加工する方法です。フィルターや描画モード、色調補正など、複数の操作を経て完成させます。元画像をそのまま利用する方法なので、作例とは違うピクセルサイズの画像では、効果が発揮できないことがあります。他の素材に応用する場合は、あらかじめ、使用する画像の長辺をリサイズしてください。
元画像 → 写真を手摺り木版画風に加工

空の一部を選択する

素材画像をダウンロードして開きます。素材画像は、[幅 : 2560 pixel]、[高さ : 1712 pixel] 、[解像度 : 72 pixel/inch]、[モード : RGB カラー] を使用しています。加工する素材は、人物や建物、小物の切り抜きなど、主体と背景 (壁や空など) がはっきり区別できて、かつすべてにピントが合った遠景の写真が好ましいです。
素材画像を開く
素材画像を開く
[選択範囲] メニューから、[色域指定] を選択します。[色域指定] ダイアログで、[選択] に [指定色域] を選択します。
[カラークラスタ指定] のチェックマークを入れます。
[許容量] に「100」、[範囲] に「100」を入力します。
[カラークラスタ指定] のチェックマークを入れる
[カラークラスタ指定] のチェックマークを入れる
[command (Ctrl)] キーを押します。すると、[色域指定] ダイアログ内のプレビュー画面が、通常の元画像表示に切り換わります。プレビューの左上端を、[command (Ctrl)] キーを押しながらクリックします。
プレビューの左上端を [command (Ctrl)] + クリック
プレビューの左上端を [command (Ctrl)] + クリック
指定色域が描画色 (初期設定) の場合 → クリックした箇所が指定色域になる

カラークラスタ指定とは?

[カラークラスタ指定] オプションを有効にすると、指定したポイントから隣接するピクセルの放射状に拡がった範囲が設定できます。[範囲] に「100」% を設定しても、指定したポイントから離れた部分の適用量は、徐々に弱くなっていくので、選択ポイントを強調することができます。

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選択の領域を広げていく

[色域指定] ダイアログで、[選択範囲のプレビュー] に [黒マット] を選択します。
[許容量] に「25」を入力します。
[サンプルに追加] をクリックします。
[サンプルに追加] をクリック
[サンプルに追加] をクリック

選択範囲のプレビューを選択!

[選択範囲のプレビュー] は、選択範囲外を設定した方法でマスクした画像がプレビューされ、作成される選択範囲を直感的に確認できます。対象画像に合わせて確認しやすいプレビューを選択しましょう。
選択範囲のプレビュー
ドキュメント内で、空の領域の選択されていない部分を数カ所クリックします。
数カ所をクリック
数カ所をクリック
[色域指定] ダイアログで、[許容量] を「100」に戻します。
[OK] をクリックします。
[許容量] を「100」に戻す
[許容量] を「100」に戻す
すると、[色域指定] による選択範囲が作成されます。
[色域指定] による選択範囲が作成される
[色域指定] による選択範囲が作成される

放射状の領域を拡げる!

[カラークラスタ指定] オプションでの [サンプルに追加] は、最初にクリックした箇所から、放射状に領域を少しずつ拡げていきます。ポイントが点在する場合は、最初にクリックした箇所から、いちばん近いポイントからクリックしてください。

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空のグラデーションを作成する

[レイヤー] パネルで、[塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成] をクリックし、メニューから [グラデーション] を選択して、[グラデーション 1] を作成します。
[グラデーション 1] を作成
[グラデーション 1]を作成
[グラデーションで塗りつぶし] ダイアログで、[クリックしてグラデーションを編集] をクリックして、[グラデーションエディター] ダイアログを表示します。
[クリックしてグラデーションを編集] をクリック
[クリックしてグラデーションを編集] をクリック
[グラデーションエディター] ダイアログで、グラデーションを設定して、[OK] をクリックします。
[グラデーションエディター] ダイアログを設定
[グラデーションエディター] ダイアログを設定
【設定値】
[位置 : 0%] [不透明度 : 100%]
[位置 : 100%] [不透明度 : 100%]
[位置 : 20%] [H : 55°/ S : 39% / B : 100%]
[位置 : 60%] [H : 327°/ S : 29% / B : 86%]
[位置 : 100%] [H : 203°/ S : 60% / B : 92%]
[グラデーションで塗りつぶし] ダイアログで、[ディザ] にチェックマークを入れます。
[OK] をクリックします。
[ディザ] にチェックマークを入れる
[ディザ] にチェックマークを入れる
空に設定するグラデーションが作成できました。
空のグラデーションが作成できた
空に設定するグラデーションが作成できた

ディザとは?

[ディザ] とは、グラデーションが縞状になってしまうことを防ぐオプションです。グラデーションを限られた色のパターン (ピクセルドットで間引かれた粒子) にして、階調が段階的な縞状になってしまう現象「バウンディング」を防ぎます。

レイヤーマスクを修正する

[レイヤー] パネルで、[グラデーション 1] レイヤーマスクサムネールを、[option (Alt)] キーを押しながらクリックます。
[option (Alt)] + クリック
[option (Alt)] + クリック
すると、ドキュメントがレイヤーマスクモードに切り替わります。
レイヤーマスクモードに切り替わる
レイヤーマスクモードに切り替わる
[ツール] パネルで、[描画色と背景色を入れ替え] をクリックして、描画色を [ブラック] に設定します。
[描画色と背景色を入れ替え] をクリック
[描画色と背景色を入れ替え] をクリック
[ツール] パネルから、[ブラシツール] を選択します。
[ブラシツール] を選択
[ブラシツール] を選択
オプションバーで、[クリックでブラシプリセットピッカーを開く] をクリックして、[直径] に「8 px」、[硬さ] に「50%」を設定します。
オプションバーを設定
オプションバーを設定
空の領域以外のレイヤーマスクを修正します。
STEP 3 → レイヤーマスクを修正する

修正はアバウトで!

レイヤーマスクの修正はアバウトなものでかまいません。細部は [ブラシツール] で塗りつぶし、広い範囲は[なげなわツール] などで選択範囲を作成し、[編集] メニューから、[塗りつぶし] を選択して、[ブラック] で塗りつぶしてください。

スマートオブジェクトに変換する

[レイヤー] パネルで、[背景] を選択します。
[レイヤー] メニューから、[スマートオブジェクト] → [スマートオブジェクトに変換] を適用します。
スマートオブジェクトを確認
スマートオブジェクトを確認

スマートオブジェクトとは?

[スマートオブジェクトに変換] を適用すると、[背景] やレイヤーが「スマートオブジェクト」に変換されます。スマートオブジェクトにすることで、適用後の色調補正やフィルターが再編集できます。[背景] に適用すると、レイヤー名が [レイヤー 0] に変更され、[背景] では設定できなかった [描画モード] や [不透明度]、[位置をロック] などが有効になります。
[レイヤー] パネルで、[レイヤー 0] を [新規レイヤーを作成] にドラッグして、[レイヤー 0 のコピー] を作成します。
[レイヤー 0 のコピー] を [輪郭線] に変更します。
[レイヤー 0 のコピー] を [輪郭線] に変更
[レイヤー 0 のコピー] を [輪郭線] に変更
[command (Ctrl)] + []] キーを押して、[輪郭線] を前面へ移動します。
[command (Ctrl)] + [,] キーを押して、[輪郭線] を非表示にします。
[輪郭線] を非表示にする
[輪郭線] を非表示にする

複製で修正が連動する!

スマートオブジェクトを複製すると、元画像が複製されたように見えますが、それぞれのスマートオブジェクトで、ひとつの元画像を共有しています。たとえば、どちらかの元画像に 50% グレーで塗りつぶしを適用すると、一方のスマートオブジェクトも50%グレーで塗りつぶされます。元画像を修正したい場合などに便利ですね。
50% グレーで塗りつぶしが連動する
50% グレーで塗りつぶしが連動する
スマートオブジェクトのコンテンツを編集するには、[レイヤー] メニューから、[スマートオブジェクト] → [コンテンツを編集] を選択、または右クリックで表示するコンテキストメニューから、[コンテンツを編集] を選択、またはスマートオブジェクト・レイヤーサムネールをダブルクリックすると、スマートオブジェクトのコンテンツが表示されます。

影を明るくして彩度を高める

[レイヤー] パネルで、[レイヤー 0] を選択します。
[イメージ] メニューから、[色調補正] → [シャドウ・ハイライト] を選択します。[シャドウ・ハイライト] ダイアログで、[シャドウ] セクションの [量] に「35」% を入力します。
[ハイライト] セクションの [量] に「10」% を入力します。
[調整] セクションの [カラー] に「+100」を入力して、[OK] をクリックします。
[シャドウ・ハイライト] ダイアログを設定
[シャドウ・ハイライト] ダイアログを設定
[シャドウ・ハイライト] で、素材画像の影を明るくして、彩度を高めることができました。
STEP 5 → 影を明るくして彩度を高める

カラーは量に対して適用される!

[調整] セクションの [カラー] は、シャドウ、またはハイライトを調整することによって変化した彩度を補正します。初期設定では「+20」に設定されています。この設定値は、[シャドウ]、[ハイライト] セクションの[量] で設定した数値を元にして算出され、[シャドウ] はシャドウ領域、[ハイライト] はハイライト領域を適用範囲とします。たとえば、[ハイライト] セクションの [量] に「0」% が設定されていると、[カラー] に「+100」を設定しても、ハイライト領域の彩度が高くなることはありません。影を明るくして彩度を高くすると、写真がイラストのようになります。素材により適切な数値を探りましょう。

和紙風の生成り色に調整する

[イメージ] メニューから、[色調補正] → [レベル補正] を選択します。[レベル補正] ダイアログで、チャンネルに [レッド] を選択します。
[出力レベル] に「0」、「248」を入力します。
チャンネルに [レッド] を設定
チャンネルに [レッド] を設定
チャンネルに [グリーン] を選択します。
[出力レベル] に「0」、「248」を入力します。
チャンネルに [グリーン] を設定
チャンネルに [グリーン] を設定
チャンネルに [ブルー] を選択します。
[出力レベル] に「0」、「240」を入力して、[OK] をクリックします。
チャンネルに [ブルー] を設定
チャンネルに [ブルー] を設定
[レベル補正] で、和紙風の生成り色に調整することができました。
STEP 6 → 和紙風の生成り色に調整する

後退量のバランスを変える!

[レベル補正] の設定は、全体的にホワイト点を少し後退させ、チャンネル [ブルー] のみ後退量を多くすることで、黄みがかったカラーバランスに調整しています。

エッジにハローをつける

[レイヤー] パネルで、[レイヤー 0] と [グラデーション 1] を [command (Ctrl)] キーを押しながらクリックして選択します。
[command (Ctrl)] + クリック
[command (Ctrl)] + クリック
[レイヤー] メニューから、[スマートオブジェクト] → [スマートオブジェクトに変換] を適用します。
[グラデーション 1] を [彩色面] に変更します。
スマートオブジェクトを確認
スマートオブジェクトを確認

構造化で再編集が可能に!

[彩色面] の役割は、木版画風の力強い黒い線で括るカラーの部分です。作例では、空の部分にグラデーションを適用しているので、それを含んだひとつの「ピクセルレイヤー」に、[彩色面] に必要な効果をつける必要があります。再編集ができる状態を保つには、スマートオブジェクトを含むコンテンツを、さらにスマートオブジェクトに変換するという親子関係のような構造化を行います。
[フィルター] メニューから、[シャープ] → [アンシャープマスク] を選択します。[アンシャープマスク] ダイアログで、[量] に「50」、[半径] に「32」pixel、[しきい値] に「0」レベルを設定して、[OK] をクリックします。
[アンシャープマスク] ダイアログを設定
[アンシャープマスク] ダイアログを設定
エッジにハローをつけることができました。
STEP 7 → エッジにハローをつけることができた

アンシャープマスクとは?

[アンシャープマスク] とは、画像の輪郭をシャープにする機能です。そのしくみは、隣接するピクセルの明度を検出し、明るさの違いを強調することで輪郭をはっきり見せます。[半径] の一般的な設定値は、1 〜 3 pixel ですが、大きい数値を設定すると、輪郭の周囲にハロー (光がぼやけて見える現象) が出現します。

手摺り風のタッチをつける

[フィルター] メニューから、[フィルターギャラリー] を選択します。[フィルターギャラリー] 操作パネルで、[ブラシストローク] → [エッジの強調] を選択します。
[エッジの強調] を選択
[エッジの強調] を選択
[エッジの強調] ダイアログで、[エッジの幅] に「8」、[エッジの明るさ] に「38」、[滑らかさ] に「5」を設定します。
[エッジの強調] ダイアログを設定
[エッジの強調] ダイアログを設定
[フィルターギャラリー] 操作パネルで、[新しいエフェクトレイヤー] をクリックします。
[新しいエフェクトレイヤー] をクリック
[新しいエフェクトレイヤー] をクリック
[テクスチャ] → [粒状] を選択します。[粒状] ダイアログで、[粒子の種類] に [凝集]、[密度] に「50」、[コントラスト] に「60」を設定します。
[粒状] ダイアログを設定
[粒状] ダイアログを設定
[フィルターギャラリー] 操作パネルで、[新しいエフェクトレイヤー] をクリックします。
[新しいエフェクトレイヤー] をクリック
[新しいエフェクトレイヤー] をクリック
[粒状] ダイアログで、[粒子の種類] に [横]、[密度] に「10」、[コントラスト] に「50」を設定して、[OK] をクリックします。
[粒状] ダイアログを設定
[粒状] ダイアログを設定
STEP 8 → 手摺りのタッチをつけることができた

手摺り風のタッチを再現する!

バレンでこすった手摺り風のタッチを再現するために、[エッジの強調] で、彩色面のエッジを明るく強調し、[粒状] の [凝集] で、絵の具の摺りムラをつくります。[粒状] の [横] では、ランダムな横線を入れることで、版木の木目が浮かび上がったような効果を狙っています。

木版画の輪郭線を作成する

[レイヤー] パネルで、[輪郭線] を表示して選択します。
[輪郭線] を表示して選択
[輪郭線] を表示して選択
[フィルター] メニューから、[フィルターギャラリー] を選択します。[フィルターギャラリー] 操作パネルで、[command (Ctrl)] キーを押しながら、[すべてをクリア] をクリックします。すると、前の手順で作成した複数のエフェクトレイヤーが初期設定されます。
[すべてをクリア] をクリック
[すべてをクリア] をクリック
[スケッチ] → [スタンプ] を選択します。[スタンプ] ダイアログで、[明るさ・暗さのバランス] に「5」、[滑らかさ] に「5」を設定します。
[スタンプ] ダイアログを設定
[スタンプ] ダイアログを設定

描画色と背景色に注意!

[スタンプ] の効果は、描画色と背景色が影響します。適用前に必ず、[ツール] パネルで、[描画色と背景色を初期設定に戻す] をクリックしてください。
[フィルターギャラリー] 操作パネルで、[新しいエフェクトレイヤー] をクリックします。
[新しいエフェクトレイヤー] をクリック
[新しいエフェクトレイヤー] をクリック
[アーティスティック] → [カットアウト] を選択します。[カットアウト] ダイアログで、[レベル数] に [4]、[エッジの単純さ] に「4」、[エッジの正確さ] に「2」を設定して、[OK] をクリックします。
[カットアウト] ダイアログを設定
[カットアウト] ダイアログを設定
元画像 → 木版画の輪郭線を作成することができた
[レイヤー] パネルで、描画モードに [乗算] を選択します。
[不透明度] に「90%」を入力します。
[不透明度] に「90%」を入力
[不透明度] に「90%」を入力
江戸時代の手刷り木版画風が完成しました。
手摺り木版画風が完成した
手摺り木版画風が完成した

輪郭線を調整する!

[不透明度] に「90%」を設定することで、わずかな黒い輪郭線の重ね摺りが表現できます。使用する写真素材により、十分な輪郭線が検出できない場合は、[スタンプ] の [明るさ・暗さのバランス] で調整、または、フィルターを適用する前に、[シャドウ・ハイライト] で影の部分を明るくしてください。

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