切り抜きを極める!髪の毛を色域で切り抜く

切り抜きを極める!髪の毛を色域で切り抜く

【Photoshop基本操作】映像を合成する技術「クロマキー合成」では、撮影時にブルーバックやグリーンバックが多く用いられています。背景が単色なら、髪の毛のような繊細な境界線も簡単に切り抜くことができます。でも、撮影スタジオやホリゾントを準備するのは大変です。そんな時は青空を背景に撮影してみましょう。青空の色域を指定するだけで、髪の毛が自然なカンジで切り抜けます。



髪の毛をパーツに分けて切り抜く!
髪の毛などの繊細で曖昧な境界線と、人物の顔や手など輪郭がはっきりした部分を一度に切り抜くのは難しいです。「急がば回れ」じゃないですが、それぞれに適した方法で切り抜き、レイヤーマスクで合成することが何よりも早道です。迷わず髪の毛をパーツに分けて切り抜く方法を取りましょう。

クロマキー合成を応用する

オブジェクトを効率よく切り抜くには、写真撮影時の背景が大きく影響してきます。映像を合成する技術では、青色のホリゾント (背景の壁や布) で撮影した「ブルーバック」、緑色のホリゾントで撮影した「グリーンバック」を使用した、「クロマキー合成」が多く用いられているのはそのためです。
ブルーバックで撮影 → クロマキー合成
グリーンバックで撮影 → クロマキー合成
ホリゾントが用意できない屋外撮影では、青空を背景にすると同じような効果が得られます。青色と人物の肌色は補色 (反対色) になるので、切り抜きの境界線が抽出しやすくなります。
青空を背景にして撮影 → 青空の色域を指定して切り抜く
それでは、色域を指定して髪の毛を切り抜いてみましょう。
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photo by AdinaVoicu
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【Photoshop講座】切り抜きを極める!髪の毛を色域で切り抜く
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不透明部分の選択範囲を作成する

人物の顔や手など輪郭がはっきりした部分と、髪の毛などの繊細な部分は、それぞれパーツに分けて適切な方法で切り抜きます。パーツに分ける境界線は、透けているか透けていないかです。まず、髪の毛以外の不透明部分を選択しましょう。
人物の顔や手など輪郭がはっきりした部分 → 髪の毛などの繊細な部分
[ツール] パネルから、[クイック選択ツール] を選択します。
[クイック選択ツール] を選択
[クイック選択ツール] を選択
クイック選択ツールとは?
[クイック選択ツール] は、選択したい画像の上を大まかにドラッグして、自動的に選択範囲を作成します。
オプションバーで、[クリックでブラシオプションを開く] をクリックします。
[直径] に「32 px」を入力します。この数値は、対象のオブジェクトが選択できる最大値です。その他の項目は、初期設定のままにしておきます。
オプションバーで [直径] を設定
オプションバーで [直径] を設定
[自動調整] にチェックマークを入れます。[自動調整] を有効にした場合、はっきりした境界線のコントラストはより強くなり、ぼけた境界線のコントラストも強くなります。
[自動調整] が有効の場合 → [自動調整] が無効の場合
境界線をレイヤーマスク (白黒) で比較してみると、[自動調整] を有効にした場合の方が、あらゆる条件において優れていることがわかります。[自動調整] を無効にした場合は、はっきりした境界線とぼけた境界線の違いがなく、選択範囲の境界線に対して均一な効果が適用されています。
[自動調整] が有効の場合 (はっきりした境界線部分) → [自動調整] が無効の場合 (はっきりした境界線部分)
[自動調整] が有効の場合 (ぼけた境界線部分) → [自動調整] が無効の場合 (ぼけた境界線部分)
人物の大まかな範囲をドラッグします。ドラッグを開始すると、Photoshop が自動的に境界線を検出して選択範囲を作成します。違う色の領域を選択する場合は、数回に分けてドラッグします。選択されていない領域があっても深追いはしません。とりあえずは大まかに選択することがコツです。岩の部分もすべて選択します。大まかな選択範囲が作成できたら、選択範囲を徐々に広げていきます。
人物の大まかな範囲をドラッグ → 岩の部分もすべて選択
ショートカットキーを使おう!
[クイック選択ツール] を使用中に、ドキュメントウィンドウを拡大、または縮小表示したい場合は、ショートカットキーが便利です。
ズームイン : [space] + [command (Ctrl)] + クリック
ズームアウト : [space] + [option (Alt)] + クリック
細部の修正は、ブラシの [直径] を小さくします。オプションバーで、[クリックでブラシオプションを開く] をクリックします。
[直径] に「8 px」を入力します。
オプションバーで [直径] を設定
オプションバーで [直径] を設定
選択範囲がはみ出した部分は、[option (Alt)] キーを押しながらドラッグして消去します。選択範囲の外側から内側へ、徐々に消去していくことがコツです。さらに詳細な部分は、数回に分けてクリックしましょう。
[option (Alt)] + ドラッグで消去 → [option (Alt)] + ドラッグで消去
髪の毛の選択範囲は、頭部のシルエットを残して消去します。ブラシの [直径] を大きくして、選択範囲の外側から内側へ、徐々に消去していくことがコツです。
髪の毛の透けた部分の選択範囲を消去
髪の毛の透けた部分の選択範囲を消去
透けていない部分は、絶対に背景の影響がない部分なので、輪郭がわかりにくい場合でも、構造的な見方で抽出しておくと安心です。髪の毛の透けた部分が消去できていれば、曖昧な境界線の選択範囲でも OK です。
不透明部分の領域のみ選択範囲を残す
不透明部分の領域のみ選択範囲を残す
画面をスクロールする!
[クイック選択ツール] を使用中に、ドキュメントウィンドウの拡大表示位置を移動 (スクロール) したい場合は、[space] キーを押しながらドラッグします。
不透明部分の選択範囲を作成することができました。
不透明部分の選択範囲を作成
不透明部分の選択範囲を作成
選択範囲が作成できたら、選択範囲を保存しておきます。[選択範囲] メニューから、[選択範囲を保存] を選択します。[選択範囲を保存] ダイアログで、[チャンネル] に [新規] を選択して、[OK] をクリックします。[選択範囲] メニューから、[選択を解除] を選択、または [command (Ctrl)] + [D] キーを押して、選択範囲を解除します。
[チャンネル] に [新規] を選択
[チャンネル] に [新規] を選択
[チャンネル] パネルを表示します。選択範囲が [アルファチャンネル 1] として保存されています。
サムネールをクリックすると、ドキュメントウィンドウに [アルファチャンネル 1] が表示されます。[RGB] をクリックすると、画像描画モードに戻ります。
[アルファチャンネル 1] を選択
[アルファチャンネル 1] を選択
[アルファチャンネル 1] を表示して、保存された選択範囲の領域を確認しましょう。
[アルファチャンネル 1] を表示
[アルファチャンネル 1] を表示
アルファチャンネルとは?
アルファチャンネルとは、同じドキュメント内に作成できる編集用のグレースケール画像です。元画像には影響を及ぼしません。レイヤーマスクとして活用すると、白い部分が表示する領域で、黒い部分が隠す領域です。[選択範囲を読み込む] では、白い部分が選択範囲として読み込まれます。
レイヤーマスクでの領域の働き
レイヤーマスクでの領域の働き
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髪の毛を色域で抽出する

背景の色域を指定して、髪の毛の詳細な選択範囲を作成します。[色域指定] は、画像全体から特定の色域だけを選択できるので、オブジェクトの境界線の微妙な色の強弱や、透けている部分の曖昧なシルエットも抽出することができます。
これから作成する [色域指定] の選択範囲
これから作成する [色域指定] の選択範囲
オブジェクトの切り抜きに「レイヤーマスク」を使用したいので、[背景] をレイヤーに変換しておきます。[レイヤー] パネルで、[背景] を [option (Alt)] キーを押しながらダブルクリックします。すると、[背景] が[レイヤー 0] に変換されます。
[option (Alt)] + ダブルクリック → [レイヤー 0] に変換
[レイヤー 0] を [新規レイヤーを作成] にドラッグして、[レイヤー 0 のコピー] を作成します。
レイヤーを複製することができたら、[レイヤー 0 のコピー] を非表示にします。
[レイヤー 0] を選択します。
[レイヤー 0 のコピー] を作成
[レイヤー 0 のコピー] を作成
レイヤーを複製する!
[レイヤー 0 のコピー] は、元画像を保存しておく役目と、不透明部分の仕上げ用として使用します。1枚のレイヤーで、切り抜きがうまくできた場合は使用しません。
画像全体の色域から選択範囲を作成したい場合は、色域の範囲や量を詳細に設定できる [色域指定] が適しています。[選択範囲] メニューから、[色域指定] を選択します。[色域指定] ダイアログで、[スポイトツール] を選択します。ドキュメント内で、青空の部分をクリックします。クリックする箇所は、オブジェクトの境界線に対して、最も影響する部分を選択します。
ドキュメント内で青空の部分をクリック
ドキュメント内で青空の部分をクリック
適切なサンプルカラーを選択!
クリックする箇所が少し違うだけで、結果が大きく変わる場合もあります。続けてクリックする箇所を変えて、適切なサンプルカラーを選択してください。
[色域指定] ダイアログで、[階調の反転] にチェックマークを入れます。[階調の反転] にチェックマークを入れると、指定した色域以外の領域に選択範囲が作成されます。
[選択範囲のプレビュー] に [白マット] を選択します。[白マット] を選択すると、選択範囲の外側が白地にプレビューされます。
[階調の反転] と [白マット] を設定
[階調の反転] と [白マット] を設定
[範囲] は、[カラークラスタ指定] が有効のとき、クリックした箇所を中心とした階調範囲を設定する項目です。作例では、青空の広い範囲を選択したいので、最大値の「100」% に設定しておきます。
[範囲] の効果を確認
[範囲] の効果を確認
[許容量] は、サンプルカラーの範囲を調整する項目です。数値を大きくすると、現在選択中の近似色の許容量が増え、選択される範囲が広がります。
[許容量] の効果を確認
[許容量] の効果を確認
[許容量] の数値を小さくすると、現在選択中の近似色が確認しやすくなります。作例では、髪の毛との境界線近くに、選択されていない部分が多くあることがわかりました。
現在の設定に加えて、サンプルカラーを追加しましょう。[サンプルに追加] をクリックします。
[サンプルに追加] をクリック
[サンプルに追加] をクリック
確認するための暫定値!
[許容量] の設定は暫定的なものです。サンプルカラーの階調量によって、最適な数値を調整してください。
ドキュメント内で、青空の領域の選択されていない部分を数カ所クリックします。
数カ所をクリック
数カ所をクリック
[サンプルに追加] で数カ所をクリックしていくと、[白マット] で白地にプレビューされる領域が増えていきます。
[許容量] の効果を確認
[許容量] の効果を確認
髪の毛の周囲をクリック!
クリックする箇所は、髪の毛の周囲です。不透明部分の境界線に青い色域が残っていても構いません。
髪の毛を中心に、青空の領域が白地にプレビューできたら、自然な境界線になるように [許容量] を調整します。
[許容量] を調整
[許容量] を調整
作例では、[許容量] を初期設定の「100」に戻しました。
[許容量] が設定できたら、[OK] をクリックします。
[許容量] を「100」に戻す
[許容量] を「100」に戻す
髪の毛を透明部分を色域で抽出することができました。
髪の毛を色域で抽出することができた
髪の毛を色域で抽出することができた
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レイヤーマスクを編集する

[色域指定] の選択範囲でレイヤーマスクを作成し、不透明部分の選択範囲を読み込んで編集します。レイヤーマスクの編集は、マスク領域と表示領域をはっきり分けることを目的とします。不透明部分は [クイック選択ツール] で作成した境界線、髪の毛の透明部分は [色域指定] で境界線を使用します。
不透明部分の選択範囲を読み込む → レイヤーマスクを編集
[レイヤー] パネルで、[レイヤーマスクを追加] をクリックします。すると、青空の領域がマスクされ、透明ピクセルとして表示されます。
[レイヤーマスクを追加] をクリック
[レイヤーマスクを追加] をクリック
レイヤーマスクサムネールを [option (Alt)] キーを押しながらクリックします。
[option (Alt)] + クリック
[option (Alt)] + クリック
ドキュメントウィンドウが、レイヤーマスクモードに切り替わりました。
レイヤーマスクモードに切り替える
レイヤーマスクモードに切り替える
[選択範囲] メニューから、[選択範囲を読み込む] を選択します。[選択範囲を読み込む] ダイアログで、[チャンネル] に [アルファチャンネル 1] を選択して、[OK] をクリックします。
[アルファチャンネル 1] を選択
[アルファチャンネル 1] を選択
[編集] メニューから、[塗りつぶし] を選択します。[塗りつぶし] ダイアログで、[内容] に [ホワイト] を選択して、[OK] をクリックします。
[ホワイト] を選択
[ホワイト] を選択
不透明部分の選択範囲内が [ホワイト] で塗りつぶされました。
不透明部分を [ホワイト] で塗りつぶす
不透明部分を [ホワイト] で塗りつぶす
[ツール] パネルから、[なげなわツール] を選択します。
[なげなわツール] を選択
[なげなわツール] を選択
なげなわツールとは?
[なげなわツール] は、ドラッグした形に選択範囲を作成します。ドラッグを始める開始点とマウスボタンを離した終了点は直線で結ばれます。
オプションバーで、[選択範囲に追加] を選択します。
[選択範囲に追加] を選択
[選択範囲に追加] を選択
髪の毛の周囲をドラッグして、選択範囲に追加します。選択範囲が追加できたら、[選択範囲] メニューから、[選択範囲を反転] を選択、または [shift] + [command (Ctrl)] + [I] キーを押して、選択範囲を反転します。
髪の毛の周囲をドラッグ→選択範囲に追加
[編集] メニューから、[塗りつぶし] を選択します。[塗りつぶし] ダイアログで、[内容] に [ブラック] を選択して、[OK] をクリックします。
[ブラック] を選択
[ブラック] を選択
マスク領域を [ブラック] で塗りつぶすことができました。
マスク領域を [ブラック] で塗りつぶす
マスク領域を [ブラック] で塗りつぶす
[選択範囲] メニューから、[選択を解除] を選択、または [command (Ctrl)] + [D] キーを押して、選択を解除します。髪の毛と不透明部分の境界に違和感があれば、[ブラシツール] や [覆い焼きツール] で修正します。[レイヤー] パネルで、レイヤーサムネールをクリックして、ドキュメントの表示を画像描画モード (通常モード) に戻します。
レイヤーサムネールをクリック
レイヤーサムネールをクリック
レイヤーマスクを編集することができました。
レイヤーマスクを編集することができた
レイヤーマスクを編集することができた
パートカラーにも応用できる!
特定の色だけ残してモノクロにする「パートカラー」も、[色域指定] を使えばカンタンに作成することができます。
元画像→パートカラーを作成

不要なカラーを除去する

髪の毛のような透けたオブジェクトは、どんなにうまく切り抜いても、青空の色が影響して青っぽくなります。境界線に残る不要なカラーを除去しましょう。
青空の色が影響して青っぽくなる → 境界線に残る不要なカラーを除去
[レイヤー] メニューから、[マッティング] → [不要なカラーの除去] を選択します。[不要なカラーの除去] ダイアログで、[量] に「50%」を設定して、[OK] をクリックします。
「50%」を設定
「50%」を設定
不要なカラーの除去とは?
[マッティング] から [不要なカラーを除去] を選択すると、境界線の外側の色が内側の色の系統に変換されます。[量] で自動補正の適用率が調整できます。作例では、最小値から最大値にすると、髪の毛に残る青みの変化が確認できます。最大値では青みは減少しますが、境界線が赤っぽくなり不自然さが感じられます。
これでほぼ完成ですが、[不要なカラーを除去] の適用で、髪の毛以外の不透明部分の境界線が、必要以上に赤くなったり、肌色に影響が出たりすることもあります。複製しておいた [レイヤー 0 のコピー] を合成することで、これらを修正しましょう。
[不要なカラーを除去] を適用
[不要なカラーを除去] を適用
[選択範囲] メニューから、[選択範囲を読み込む] を選択します。[選択範囲を読み込む] ダイアログで、[チャンネル] に [アルファチャンネル 1] を選択して、[OK] をクリックします。
[アルファチャンネル 1] を選択
[アルファチャンネル 1] を選択
[選択範囲] メニューから、[選択範囲を変更] → [縮小] を選択します。[選択範囲を縮小] ダイアログで、[縮小量] に「1」pixel を設定して、[OK] をクリックします。
「1」pixel を設定
「1」pixel を設定
なぜ選択範囲を縮小する?
同じ選択範囲でマスクしたレイヤーを合成すると、境界線が少し太り気味になる傾向があります。これは境界線にある半透明のピクセル同士が重なり合って不透明度を高めるためです。詳細には [レベル補正] や [トーンカーブ] を用いて、補正による調整を行うべきですが、境界線を「1」pixel 縮小したレイヤーを重ねることで回避できることもあります。
[レイヤー] パネルで、[レイヤー 0 のコピー] を表示して選択します。
[レイヤー 0 のコピー] を選択
[レイヤー 0 のコピー] を選択
[レイヤーマスクを追加] をクリックします。
[レイヤーマスクを追加] をクリック
[レイヤーマスクを追加] をクリック
不透明部分が合成できました。
不透明部分が合成できた
不透明部分が合成できた
レイヤーの最背面に任意の画像をコピー&ペースト、または任意のカラーを設定すれば完成です。
レイヤーの最背面に任意のカラーを設定
レイヤーの最背面に任意のカラーを設定
不透明部分の合成は必要?
最後に不透明部分を合成しなくていいのでは? という疑問は、多くの方が持つものだと思います。ひとつのレイヤーで、[マッティング] の適用結果がよければ、最後の不透明部分の合成は必要ありません。[不要なカラーを除去] は、[量] によって適用率は調整できますが、範囲については Photoshop に「おまかせ」です。なので、意図しない色調変換が行われる可能性は捨てきれません。最後の不透明部分の合成は、必要に応じて追加してください。

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