【Photoshop基本操作】写真全体の色調が、特定の色に偏っていることを「色かぶり」といいます。撮影時の「光源の色の違い」で起こる現象なので、光の三原色「 RGB 」のバランスを整えれば、このような「色かぶり」は除去できます。[ Camera Raw ] で除去する方法と、[ トーンカーブ ] で除去する方法から、その原因と補正方法を学びましょう。
RGBのハイライト点を揃える!
光の三原色「 RGB 」のバランスを整えることが、色かぶりの除去方法です。しかし、色調補正はケースバイケースなので、どのような場合でも当てはまる「明確な答え」みたいなものが欲しいところですね。
とりあえず、RGB のハイライト点を揃えておいて、対象画像に応じた微調整を行うというのが、これから紹介する色かぶりの除去方法です。

ホワイトバランスと色温度
写真の仕上がりが、撮影時の印象よりも青みがかってたり、赤みがかってたりすることはよくあります。しかし、このような「色かぶり」を、単なる「変色」だと捉えるのは間違いです。ある意味、自然に忠実であるからこそ起こる現象なのです。その原因から探っていきましょう。

ホワイトバランスとは?
「ホワイトバランス」とは、太陽光や蛍光灯などのような、「光源の色の違い」を調整することをいいます。撮影時に適切なホワイトバランスを設定していないと、このような「色かぶり」は顕著に現れます。

不適切なホワイトバランスで撮影
それは、オートで撮影しても同じです。もともと、光源の色が違うので、カメラにおまかせで、人から見た印象と合わせるのは難しいです。

オートで撮影
あらかじめ、カメラに設定されたホワイトバランスを適用して撮影すると、人から見た印象に最も近い結果になります。では、これらの設定は、どのようにして、ホワイトバランスを調整しているのでしょうか?

適切なホワイトバランスで撮影
マニュアル WB とは?
カメラでホワイトバランスをマニュアル設定するには、撮影時の環境下で白い紙を置き、それをファインダーいっぱいに捉えて WB とします。操作方法はカメラによって異なりますが、マニュアル WB を設定することで、色かぶりはカンタンに防げます。
色温度とは?
色温度とは、光の色を「 K ( ケルビン ) 」という単位で表したものです。実際の「色の温度」ではありません。早朝や日陰などで撮影した写真が、青みがかっていたり、屋内でのストロボ撮影が、赤みがかっていたりするのは、この色温度のズレによるものです。

光源と色温度の概念図
色温度の値は、小さくなるほど赤く、大きくなるほど青い光の「波長」を放ちます。たとえば、ロウソクの炎は赤色、電球は黄色、太陽光は白色という、大まかな目安を持っておくといいでしょう。このような、「光源の色の違い」で起こる色かぶりを、カメラはホワイトバランスの設定値を変えることで、人から見た印象に近付けています。
太陽光の基準値は?
太陽光の基準値は、5500K 〜 6500K です。しかし、実際の太陽光は黄みがかって見えるので、少し青みがかる方が、白色として認識される傾向があります。

太陽光が白色だとすると、それは、明るさの Max 値となるので、ケルビン値が 6000K より大きくなると、青色の濃度が高まっていきます。したがって、曇天や夜間の印象が青色となるワケです。
ホワイトバランスのしくみ
たとえば、カメラのホワイトバランスを 3000K に設定すると、その座標をハイライト点 ( 白色点 ) として、RGB のバランスが整えられます。

ホワイトバランスを設定した座標がハイライト点になる
どこの座標でも同じです。「光源の色の違い」に応じたホワイトバランスを設定すると、色かぶりの影響はほとんど現れません。どんな光源に対しても、ハイライト点を真っ白にすることが、色かぶりを未然に防ぐしくみなのです。Photoshop で色かぶりを除去する場合も、このしくみと同じです。

光源の色に対して RGB のハイライト点を整える
RGB の MAX 値が白色!
光の三原色「 RGB 」は、加色混合 ( かしょくこんごう ) という特性によって、R、G、B の光が、すべて MAX 値で重なると白色になります。これは「スペキュラハイライト」という、キラリと輝く光源の部分などの白色です。

加色混合の特性

フリーのグラフィックデザイナーです。カタログ、ポスター、パッケージなど様々な分野に携わってきました。