切り抜きを極める!透けた布をレイヤーマスクで切り抜く

切り抜きを極める!透けた布をレイヤーマスクで切り抜く

【Photoshop基本操作】透けた布の輪郭だけを切り抜くと、そこに透けて見える背景や色はそのまま残ります。この状態で合成してしまったら、違和感が出るのは当然ですよね。オブジェクトの切り抜きにレイヤーマスクを使用すれば、透けている部分に階調を付けて、不透明度を変化させることができます。元画像の明度や色域から、それぞれ抽出した自然な階調をひとつに合成し、透けた布や女性の髪の毛をすばやく切り抜きましょう。


効率的なアプローチ方法を探る!
切り抜きで最初に判断しなくてはならないのは、素材画像に応じた選択範囲をいかに作成するか? というアプローチ方法です。大別すると「明度」と「色域」があり、このいずれかの要素がはっきりしている素材なら、詳細な部分でも簡単に切り抜くことができます。もちろん、曖昧な部分は調整しなければなりません。さまざまなアプローチ方法を組み合わせて、効率的な作業を目指しましょう。

階調の違いで不透明度を調整

これから行う操作は、半透明のオブジェクトに対するひとつの切り抜き方法です。作例の素材画像は、布(ショール)を掲げている女性で、モノトーンの空と青い布の対比を意図された作品です。布の透明度が高い部分はより明るく、暗い部分の色は濃くなっているので、その明度差で不透明度を調整できれば、同じような条件で切り抜けるはずです。
元画像から人物と布を切り抜く→青空の画像と合成する
photo by Klearchos Kapoutsis
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【Photoshop講座】レイヤーマスクで透けた布を切り抜く
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画像の明度を抽出する
素材画像を開きます。画像の明度から明るい部分と暗い部分を抽出して、レイヤーマスクの元になるアルファチャンネルを作成しましょう。
素材画像を開く
素材画像を開く photo by Klearchos Kapoutsis
[イメージ]メニューから、[演算]を選択します。[演算]ダイアログで、[第1元画像]の[チャンネル]に[グレー]を選択し、[反転]にチェックマークを入れます。
[第1元画像]を設定
[第1元画像]を設定
演算とは?
[演算]は、元画像の同一、または異なる2つのチャンネルを合成し、ドキュメントやチャンネルに出力することができます。ここでは[第1元画像]に、元画像のグレースケール(黒と白だけの階調で構成した画像に変換)を選択し、[反転]にチェックマークを付けることで、明るい部分を黒に、暗い部分を白に入れ替えています。
続いて、[第2元画像]の[チャンネル]に[グレー]を選択し、[反転]にチェックマークを入れます。[描画モード]に[乗算]を選択します。
[第2元画像]を設定
[第2元画像]を設定
[描画モード]に[乗算]を選択すると、それぞれの階調が乗算されて暗くなるので、空の部分の反転した階調が真っ黒に近付き、髪の毛や布などのシルエットは、暗い部分の階調が真っ白のまま維持されます。白黒をはっきりさせると、切り抜きがよりきれいに行えます。
[第1元画像]に設定した画像→[第2元画像]を合成した画像
元画像の階調を利用する!
明るい空を背景にした素材では、布や髪の毛のような透けたシルエットを、ディテールを壊すことなく簡単に強調することができます。白でもない黒でもない曖昧な階調を残すことで、合成すると背景が透けて見えるレイヤーマスクを作成することができます。
2つの画像の合成結果をアルファチャンネルに出力します。[演算]ダイアログで、[結果]に[新規チャンネル]を選択して、[OK]をクリックします。
[結果]に[新規チャンネル]を選択
[結果]に[新規チャンネル]を選択
[演算]を実行すると、[チャンネル]パネルに[アルファチャンネル 1]が作成され、ドキュメントウィンドウが自動的にアルファチャンネル表示に切り替わります。
ドキュメントにアルファチャンネルが表示される
ドキュメントにアルファチャンネルが表示される
[チャンネル]パネルに作成された[アルファチャンネル 1]を確認しましょう。
[アルファチャンネル 1]を確認
[アルファチャンネル 1]を確認
アルファチャンネルとは?
画像を構成している「チャンネル」、たとえば RGB カラーならレッド、グリーン、ブルーの3つのチャンネルの他に、特殊な第4のチャンネルをプラスアルファすることです。アルファチャンネルは複数作成することも可能で、元の画像には直接影響を与えない補助チャンネルです。選択範囲の領域を保存したり、編集を加えて新たな選択範囲を作成することなどに活用できます。
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画像の色域を抽出する
[演算]では明度による抽出を行いましたが、青い布の部分の抽出が不完全です。青い布の部分は色域による抽出を行います。[command(Ctrl)]+[2]キーを押して、RGB 表示に切り替えます。
元画像の表示に戻す
元画像の表示に戻す
RGB 表示の切り替えは、[レイヤー]パネルの[RGB]チャンネルをクリックすることでも行えます。[チャンネル]パネルで、[RGB]チャンネルが選択されていることを確認します。
[RGB]チャンネルを選択
[RGB]チャンネルを選択
[選択範囲]メニューから、[色域指定]を選択します。[色域指定]ダイアログで、[選択]に[シアン系]を選択して、[OK]をクリックします。
[選択]に[シアン系]を選択
[選択]に[シアン系]を選択
すると、青い布の部分に選択範囲が作成されました。
選択範囲が作成されたことを確認
選択範囲が作成されたことを確認
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色域の抽出範囲を加える
抽出した選択範囲を塗りつぶして、アルファチャンネルに色域の抽出範囲を加えます。[command(Ctrl)]+[6]キーを押して、アルファチャンネル表示に切り替えます。
[command(Ctrl)]+[6]→アルファチャンネル表示に切り替える
[チャンネル]パネルで、[アルファチャンネル 1]が選択されていることを確認します。
[アルファチャンネル 1]を選択
[アルファチャンネル 1]を選択
[編集]メニューから、[塗りつぶし]を選択します。[塗りつぶし]ダイアログで、[内容]に[ホワイト]を選択して、[OK]をクリックします。
[内容]に[ホワイト]を選択
[内容]に[ホワイト]を選択
[塗りつぶし]をもう一回実行します。[shift]+[F5]キーを押して、[塗りつぶし]ダイアログを表示し、[enter]キーを押して、現在の設定の塗りつぶしを実行します。
[塗りつぶし]1回目→[塗りつぶし]2回目
色域の範囲を2回塗りつぶせたら、[command(Ctrl)]+[D]キーを押して、選択範囲を解除します。
選択範囲を解除
選択範囲を解除
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不要な部分を塗りつぶして修正する
[演算]と[色域指定]で黒くできなかった空の領域を修正します。広い領域は選択範囲を作成して塗りつぶし、髪の毛や布の境界線などの詳細な部分は、[ブラシツール]や[焼き込みツール]を使用します。
[ブラシツール]で塗りつぶす→[焼き込みツール]でコントラストをつける
アルファチャンネル(修正後)
アルファチャンネル(修正後)
隠す領域を塗りつぶす!
アルファチャンネルは、通常、白の領域に選択範囲を作成できます。選択範囲からレイヤーマスクを作成する場合は、白の領域が表示され黒の領域が隠されます。階調を含んでいる場合は、白から黒に近付くほど、不透明度が高くなります。作例では、人物と布を切り抜きたいので、それ以外の領域を黒で塗りつぶします。
不透明部分に選択範囲を作成する
[command(Ctrl)]+[2]キーを押して、RGB 表示に切り替えます。[チャンネル]パネルで、[RGB]チャンネルが選択されていることを確認します。
[RGB]チャンネルを選択
[RGB]チャンネルを選択
[クイック選択ツール]や[なげなわツール]などを使用して、人物の不透明部分(背景が透けて見えない部分)に選択範囲を作成します。
人物の不透明部分に選択範囲を作成
人物の不透明部分に選択範囲を作成
マスク用チャンネルを仕上げる
[command(Ctrl)]+[6]キーを押して、チャンネル表示に切り替えます。[チャンネル]パネルで、[アルファチャンネル 1]が選択されていることを確認します。
[アルファチャンネル 1]を選択
[アルファチャンネル 1]を選択
[shift]+[F5]キーを押して、[塗りつぶし]ダイアログを表示し、[enter]キーを押します。
[内容]に[ホワイト]を選択
[内容]に[ホワイト]を選択
選択範囲が白く塗りつぶせたら、[command(Ctrl)]+[D]キーを押して選択を解除します。
マスク用チャンネルを仕上げる
マスク用チャンネルを仕上げる
合成用の画像をコピー&ペーストする
合成用の画像を開きます。[command(Ctrl)]+[A]キーを押してすべてを選択し、[command(Ctrl)]+[C]キーを押してコピーします。
合成画像をコピー
合成画像をコピー
元画像のドキュメントを選択して、[command(Ctrl)]+[V]キーを押してペーストします。
元画像のドキュメントにペースト
[レイヤー]パネルを表示して、コピー&ペーストした合成用の画像[レイヤー 1]が作成されていることを確認します。
[レイヤー 1]が作成されていることを確認
[レイヤー 1]が作成されていることを確認
レイヤーマスクで切り抜く
[チャンネル]パネルを表示して、[アルファチャンネル 1]サムネールを[command(Ctrl)]キーを押しながらクリックします。
[command(Ctrl)]+クリック
[command(Ctrl)]+クリック
すると、[アルファチャンネル 1]の選択範囲が作成されます。選択範囲が作成できたら、[shift]+[command(Ctrl)]+[I]キーを押して、選択範囲を反転します。
選択範囲を確認→[shift]+[command(Ctrl)]+[I]で選択範囲を反転
[レイヤー]パネルを表示して、[レイヤーマスクを追加]をクリックします。[レイヤー 1]にレイヤーマスクが作成されたことを確認します。
[レイヤーマスクを追加]をクリック
[レイヤーマスクを追加]をクリック
レイヤーマスクが作成されると、人物と透けた布が切り抜かれ青空の背景が表示されます。
人物と透けた布が切り抜かれる
人物と透けた布が切り抜かれる
切り抜きの境界線を補正する
[レイヤー]パネルで、[背景]を選択します。[レイヤー 1]レイヤーマスクサムネールを[command(Ctrl)]キーを押しながらクリックします。
[command(Ctrl)]+クリック
[command(Ctrl)]+クリック
すると、青空の背景に選択範囲が作成されます。
青空の背景に選択範囲が作成される
青空の背景に選択範囲が作成される
[レイヤー]パネルで、[塗りつぶしまたは調整レイヤーを新規作成]をクリックし、メニューから[レベル補正]を選択して、[レベル補正 1]を作成します。
[レベル補正 1]を作成
[レベル補正 1]を作成
[レベル補正]ダイアログで、入力レベルの中間点をハイライト側(右側)へドラッグします。作例では「0.55」に設定しました。
no466_33.png
[レベル補正]ダイアログ
元画像の隠れた領域(背景の空)を暗くすることで、布や髪の毛の透けた部分に残る白フチ線を、目立たなくすることができます。
[レベル補正]適用前(部分)→[レベル補正]適用後(部分)
透けた布をレイヤーマスクで切り抜くことができました。
透けた布をレイヤーマスクで切り抜くことができた
透けた布をレイヤーマスクで切り抜くことができた
素材に合わせて調整する!
切り抜きの境界線は、元画像の明るいグレーに影響を受けているので、それより暗い色を持つ青空との合成では白フチが残ります。たとえば、元画像の背景と同じような明度を持つ色との合成では、このような白フチは気にならないかも知れませんし、もっと暗い色との合成では、作例より強い白フチが現れるかも知れません。[レベル補正]の設定値は、素材に合わせて調整しましょう。

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