【Photoshop基本操作】[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト]とは、[レイヤースタイル] ダイアログの[ドロップシャドウ] にあるオプション機能で、有効の場合、オブジェクトと重なる部分のドロップシャドウが取り除かれます。しかし、不透明色で作成されたオブジェクトに対しては、「有効」と「無効」の変化が確認できないので、どんな働きをする機能なのかが分かりにくいものとされています。
オブジェクトを透明にすれば一目瞭然!
ガラスの質感などをレイヤースタイルで作成する場合、無背景でも透明色を感じさせるテクニックとして、オブジェクトにドロップシャドウを重ね合わせることがあります。このときに活躍するのが [レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] なのです。「ノックアウト」は印刷用語で、インクの重なり部分を「抜き合わせ」することです。
ノックアウトの設定方法
これから行う操作は、レイヤースタイルのオプション機能である「ノックアウト」の設定方法です。カンバスカラーに「ホワイト」を設定したドキュメントに、シェイプレイヤーのオブジェクトを作成し、[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] の「有効」と「無効」の違いを比較してみましょう。

【操作方法】
素材画像をダウンロードして開きます。素材画像は、[幅 : 640 pixel]、[高さ : 160 pixel]、[解像度 : 300 pixel/inch]、[カラーモード : RGB カラー] を使用しています。

素材画像を開く
オブジェクトは半透明!
シェイプレイヤーには、ドロップシャドウの変化が確認しやすいように、[レイヤー] パネルで、[塗り] に「50 %」を設定して、オブジェクトを半透明にしました。[塗り] に設定する不透明度は、レイヤースタイルの効果に影響しません。なので、[ドロップシャドウ] に設定した描画色はそのまま反映されます。
![[塗り] に「50 %」を設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2019/01/uf015_01_01b.png)
[塗り] に「50 %」を設定
[レイヤー] パネルで、レイヤー効果の名前 [ドロップシャドウ] をダブルクリックして、[レイヤースタイル] ダイアログを表示します。
![[ドロップシャドウ] をダブルクリック](https://psgips.net/wp-content/uploads/2019/01/uf015_01_02.png)
[ドロップシャドウ] をダブルクリック
[レイヤースタイル] ダイアログで、[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] のチェックマークを確認します。
![[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] のチェックマークを確認](https://psgips.net/wp-content/uploads/2019/01/uf015_01_03.png)
[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] のチェックマークを確認
ノックアウトが有効の場合 (初期設定)
[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] が「有効」の場合は、オブジェクトと重なる部分のドロップシャドウが取り除かれます。取り除かれたドロップシャドウは、オブジェクトの [塗り] が透明色の場合に確認できます。

ノックアウトが有効の場合 (初期設定)

塗り : 100%

塗り : 50%

塗り : 0%
ノックアウトが一般的な設定!
[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] を「有効」にしておくと、オブジェクトの不透明度、または描画モードがいかなる設定であっても、背景に敷かれるドロップシャドウに影響されることがありません。
表面上、ノックアウトの影響がない場合でも、「有効」にしておくことが一般的です。「無効」は意図した特殊な使い方です。
ノックアウトが無効の場合 (オーバープリント)
[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] が「無効」の場合は、オブジェクトと重なる部分のドロップシャドウがそのまま適用されます。そのまま適用されたドロップシャドウは、オブジェクトが透明色の場合に確認できます。

ノックアウトが無効の場合 (オーバープリント)

塗り : 100%

塗り : 50%

塗り : 0%
ノックアウトとオーバープリント!
「ノックアウト」とは、主に印刷の分野で使われている専門用語で、印刷面の塗りが重なった部分を、「ヌキ (抜き合わせ)」にするという意味で用いられています。
印刷面の塗りは、プロセスカラーという限られた4色で構成されているため、刷紙の白色とカラーインクの網点が掛け合わされて、さまざまな色が表現されるしくみです。
たとえば、黒色の背景に明るい水色の文字が重なった印刷面では、シアンの網点で明るい水色を表現し、文字の部分をノックアウトしたブラックが印刷されています。

プロセスカラーのノックアウト
「オーバープリント」とは、「ノックアウト」と正反対の用語で、印刷面の塗りが重なった部分を、「ノセ」にするという意味で用いられています。
用途としては、ノックアウトの隙間を埋めるためや、インクを重ね合わせて色の深みを出す場合など、どちらかと言えば特殊な工法に用いられます。
たとえば、水色とブラックの掛け合わせを背景とした印刷面では、文字の部分がノックアウトされず、すべての領域がシアン (〜 100%)で印刷されています。

プロセスカラーのオーバープリント
オーバープリントの活用例
レイヤースタイルでは、[ドロップシャドウ] にノックアウトのオプション機能があります。透明なガラス板やアクリルボードなどの質感で重要な役割をするのが、[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] を無効にすることです。オブジェクトは [塗り : 0%] で実像がなく、[境界線] と [ドロップシャドウ] だけで存在感を演出します。

オーバープリントの活用例
![[塗り] に「0%」を設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2019/01/uf015_04_01b.png)
[塗り] に「0%」を設定
[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] を無効にすると、ドロップシャドウはオーバープリントされるので、オブジェクトに隠れた部分もノックアウトされることなく、そのままの形状で設定することができます。透明なガラス板やアクリルボードなどのスタイルづくりで、オーバープリントは欠かすことができません。
![[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] のチェックマークを外す](https://psgips.net/wp-content/uploads/2019/01/uf015_04_01c.png)
[レイヤーがドロップシャドウをノックアウト] のチェックマークを外す
ドロップシャドウの輪郭を編集する!
[ドロップシャドウ] の [画質] セクションにある [輪郭] は、ドロップシャドウの輪郭をプリセットの中から選択できます。サムネールをクリックすると、[輪郭エディター] ダイアログが表示されます。マッピングされる階調をトーンカーブで編集すると、屈折したドロップシャドウをつくり出すことができます。
![サムネールをクリックして [輪郭エディター] を表示](https://psgips.net/wp-content/uploads/2019/01/uf015_04_01d.png)
サムネールをクリックして [輪郭エディター] を表示