【Photoshop基本操作】パソコンのディスプレイから発する色に、疑問を抱いたことはありませんか? 電源をオフにしてみてください。それまで黒だと信じていた色は、実はディスプレイの生の色だったのです。色ってなんだろう? この素朴な疑問から、デジタル画像の攻略は始まるのです。
光の色とモノの色!
色の見え方には2種類あって、ひとつは「透過する光の色」、もうひとつは「反射するモノの色」です。太陽光には虹色のスペクトルが含まれていて、光そのものはいろんな色に見えます。その光を受けて反射するモノにも色が存在します。これは光をどのように、どれだけ反射するかで色が決まります。たとえば、すべてを反射する色は白、まったく反射しない色は黒になります。
色の見え方のちがい
色の見え方のちがいを、「パソコンのディスプレイ」と、「印刷物の紙」に分けて考えましょう。パソコンのディスプレイは、赤 ( Red )、緑 ( Green )、青 ( Blue ) という「光の3原色」によって、色が表現されています。印刷物の紙は、シアン ( Cyan )、マゼンタ ( Magenta )、イエロー ( Yellow ) という「色料の3原色」と、黒 ( Key plate ) を加えた4色によって、色が表現されています。
この2つの色の見え方を簡単に言うと、パソコンのディスプレイは「透過する光の色」、印刷物の紙は「反射するモノの色」です。特性の大きな違いは「無色」の表し方にあります。
黒色は特別な色!
ここでは概念的な色の見え方に限定しているので、特別な色である「黒」は、頭の片隅に置いておいてください。概念的に黒色は「無色」とされています。
無色の表し方
パソコンのディスプレイでは、光の3原色が [ 0 ] の場合、黒色になります。これは電源をオフにした状態と同じです。つまり、厳密に言えば「透明」で、ディスプレイの生の色だということになります。印刷物の紙では、色料の3原色が [ 0 ] の場合、白色になります。これはカラーインキが印刷されていない状態と同じです。つまり、厳密に言えば「透明」で、印刷用紙の色だということになります。
このような色の異なる特性を、加色混合 (かしょくこんごう)、減色混合 (げんしょくこんごう) といいます。
加色混合と減色混合
加色混合とは、R、G、B の光がすべて重なると白色になり、何もない部分が黒色 (透明) になる特性です。減色混合とは、C、M、Y の色料がすべて重なると黒色になり、何もない部分が白色 (透明) になる特性です。
加色混合のRGBカラー
減色混合のCMYKカラー
ふたつのカラーモード
Photoshop の作業は、すべてパソコンで行います。パソコンのディスプレイは、RGB カラーで表示されています。この Photoshop の作業環境は、どのような場合でも変わることはありません。たとえば、Web 用のドキュメントを作成した場合、インターネットのサーバーを介して、そのメディアである端末のディスプレイ (モニタ) に表示されます。
パソコン作業が RGB、メディアが RGB ですから、作成したドキュメントのカラーモードが「 RGB カラー」なら、すべての色は同じ見え方になります。
では、印刷用はどうでしょう? 入力が RGB、出力が CMYK ですから、画像データが印刷物になるまで、どこかで「 CMYK カラー」に変換しなくてはなりません。
一般的な家庭用プリンターの場合、機器によってインクの数や、色の再現方法が異なるので、独自の「 CMYK カラー」に変換する機能を持っています。つまり、「 RGB カラー」で作成したドキュメントでも、自動的に「 CMYK カラー」に変換されて出力されます。一般的な家庭用プリンターでは、異なる色の見え方「 CMYK 」を、特に意識する必要もないワケです。
しかし、商業印刷の分野では、より正確な色の再現が求められるため、出力機に通す前の工程で、変換することが通例です。「 CMYK カラー」で作成した画像は、擬似的な見え方で、ディスプレイに表示されます。「 RGB カラー」で作成した画像を、「 CMYK カラー」に変換することも可能です。
印刷用はCMYKカラー
Photoshop で作成する画像が、Web 用なのか、印刷用なのかで、「適切なカラーモードが違う」ということをよく理解しておきましょう。
フリーのグラフィックデザイナーです。カタログ、ポスター、パッケージなど様々な分野に携わってきました。