レイヤーマスクの作り方
画像の切り抜きは、画像加工の出発点といえるテクニックです。その方法は、オブジェクトの形状や、求められる選択範囲によりさまざまですが、頻度や精度において、パスを使用することが多いです。
まず、はっきりした形状の境界線に、正確な選択範囲をつくるためのパスを作成しましょう。
マグカップの形状には、中が空洞になる取っ手が付いていますが、本体と取っ手に分け、「閉じたパス」を2つ作成することで、空洞をくり抜く方法を取ります。
閉じたパス?
「閉じたパス」とは、パスの開始点と終了点を連結させたものです。「クローズドパス」とも呼ばれ、パスの開始点と終了点が連結していないものを「開いたパス」、または、「オープンパス」といいます。
オブジェクトの境界線にパスを作成
通称「パス切り」と呼ばれる画像をパスで切り抜く方法です。パスの作成は [ ペンツール ] で行い、正確な選択範囲をつくるための「道筋」として利用する方法と、パスそのものを [ ベクトルマスク ] にする方法や、DTP 用の切り抜き画像に用いる [ クリッピングパス ] として利用する場合など、さまざまな用途で大活躍する必須テクニックです。
【操作方法】
[ ツール ] パネルで、[ ペンツール ] を選択します。
オプションバーで、[ ツールモードを選択 ] に [ パス ] を選択します。
[ パスの操作 ] に [ シェイプを結合 ] を選択します。
マグカップ上部の境界線を開始点として、時計回りの方向で境界線をトレースしていきます。
ペンツールとは?
[ ペンツール ] とは、アンカーポイントとベジェ曲線で構成された「パス」を描くツールです。
パスを利用する機能には、シェイプレイヤーやベクトルマスク、クリッピングパスなどがあり、用途はベクトル図形の編集、画像の型抜き (切り抜き) など、主に明瞭な境界線を求める場合に威力を発揮します。
取っ手の部分を無視した「閉じたパス」で、マグカップ本体の境界線に、パスを作成していきます。
マグカップ本体の境界線を時計回りに一周して、パスの開始点にマウスカーソルを重ね、クリックしてパスを閉じます。
時計回りの方向はなぜ?
時計回りの方向で「閉じたパス」を作成すると、方向線の引き出しは常に進行方向です。
方向線を進行方向に向かって引き出しながらトレースできるので、ラインのイメージも掴みやすく、動作の距離も短くできるので効率的です。
マグカップ本体と同様にして、取っ手の閉じたパスを個別に作成します。閉じたパス同士が重なる部分を設けます。このようにすることで、空洞をくり抜きます。重なる部分は、多めに取っておきましょう。
取っ手の境界線を時計回りに一周して、パスの開始点にマウスカーソルを重ね、クリックしてパスを閉じます。
切り抜き用パスが作成できました。
パスの重なりに注意!
オプションバーで、[ パスの操作 ] に [ シェイプを結合 ] を選択しておくと、2つめ以降の閉じたパスが、シェイプの領域として結合されます。
それぞれのパスに別の設定がされていると、閉じたパスの重なった部分が削除されたり、正確な選択範囲が作成されません。
パスからレイヤーマスクを作成
作成したパスからレイヤーマスク (ピクセルマスク) を作成するには、パスを選択範囲として読み込むという操作が必要です。パスを選択範囲として読み込む場合、アンチエイリアスを有効としたぼかしのない境界線になります。
【操作方法】
[ ペンツール ] で作業用パスを作成、または、[ パス ] パネルで、作成した [ 作業用パス ] を選択して表示します。
作業用パスとは?
[ 作業用パス ] とは、画像に直接影響を与えないパスです。そのままベクトルマスクに活用したり、名前を付けて保存すると、編集や複製などが行えます。
[ 作業用パス ] サムネールを [ command ( Ctrl ) ] キーを押しながらクリック、または、右クリックで表示するコンテキストメニューから、[ 選択範囲を作成 ] を選択します。描画ピクセルを選択
すると、選択範囲が作成できます。
操作方法はいろいろ
[ パス ] パネルで、[ パスを選択範囲として読み込む ] をクリック、または、パネルメニューから [ 選択範囲を作成 ] を選択しても、同様にパスから選択範囲を作成することができます。レイヤー操作を効率化するショートカットキーを覚えましょう。
[ レイヤー ] パネルで、[ レイヤーマスクを追加 ] をクリックします。すると、選択範囲外をマスク領域とする、レイヤーマスクが作成されます。
パスからレイヤーマスクが作成できました。
選択範囲内をマスクする
作成した選択範囲内をマスク領域とする、レイヤーマスクを作成したい場合は、[ option ( Alt ) ] キーを押しながら、[ レイヤーマスクを追加 ] をクリックします。
パスからベクトルマスクを作成
切り抜きの境界線に中間調を必要としない場合は、パスの形状を変えることで、再編集が行えるベクトルマスクが便利です。
拡大・縮小といった変形の編集が、画質を劣化させず何度も行えるメリットがあります。
【操作方法】
[ ペンツール ] で作業用パスを作成、または、[ パス ] パネルで、作成した [ 作業用パス ] を選択して表示します。
オプションバーで、[ 新規ベクトルマスクを作成 ] をクリックします。
[ レイヤー ] パネルで、作成されたベクトルマスクを確認してください。
作業用パスからベクトルマスクが作成できました。
メニューからも作成できる
ドキュメントに作業用パスを作成、または、表示して、[ レイヤー ] メニューから、[ ベクトルマスク ] – [ 現在のパス ] を選択します。
マスクの境界線をぼかす
切り抜きのキレイさは、正確な形状をトレースすることはもちろん、その境界線の「ぼかし」にあります。
ビットマップ画像の境界線を滑らかに見せる「アンチエイリアス」という機能を初期値と考え、その「ぼかし」の度合いを調整することで、違和感のない背景との合成が行えます。
マスクの種類は、切り抜くオブジェクトによって、最適な境界線の「ぼかし」を得るものです。
【操作方法】
ベクトルマスクサムネールをダブルクリックして、[ 属性 (プロパティ) ] パネルを表示します。
[ 属性 (プロパティ) ] パネルで、[ ぼかし ] に [ 1.0 px ] を入力します。[ ぼかし ] を設定すると、切り抜く境界線が少しぼけて、背景となじむようになります。
ぼかしの適正値
[ ぼかし ] の設定値は、画像の大きさにより、0.5 〜 3.0 px の範囲で調整します。レイヤーマスク (ピクセルマスク) でも、同様の方法で境界線をぼかすことができます。
フリーのグラフィックデザイナーです。カタログ、ポスター、パッケージなど様々な分野に携わってきました。