【Photoshop基本操作】名刺やハガキなどの印刷物を作成するとき、パソコンのディスプレイ (モニタ) に実物の大きさを表示して確認することが必要です。Photoshop の [表示] メニューには、実物の大きさを表示できる [プリントサイズ] がありますが、選択しても同じ大きさにならないので、使用することをあきらめている方も多いのではないでしょうか? Photoshop の [スクリーン解像度] を調整して、ディスプレイ表示を「実物大」や「原寸大」といった、同じ大きさにすることを目指しましょう。
画面サイズと解像度を知ろう!
画面サイズとは、現在使用しているパソコンのディスプレイの仕様です。デスクトップパソコンでは、21 インチや 27 インチという画面サイズが多いですね。[スクリーン解像度] の適正値を求めるには、この画面サイズと画面解像度が深く関係します。
画面解像度とは、画面の幅 x 画面の高さ (pixel) です。画面解像度には規格があり、正確な数値で表されますが、画面サイズで表される数値は、物理的な寸法なのでアバウトです。たとえば、パソコンの製品カタログには「21 インチ」と記載されていても、実際の仕様では「21.5 インチ」だったりします。正確なインチ数を調べてみましょう。
プリントサイズで実物大を表示
[表示] メニューから、[プリントサイズ] を選択すると、ドキュメントの実物の大きさを表示することができます。作例のドキュメントは、幅が 148 mm、高さが 100 mm のはがきサイズですが、画面を実際の定規で計測してみると、高さが 70 mm しかありません。一般的なディスプレイに表示される大きさは、実物より 80% から 70% くらい小さいハズです。高画素密度ディスプレイの場合は異なります。

ドキュメントの大きさが実物より小さい
これは、Photoshop の初期設定が「72 ppi」を対象としているのに対し、ディスプレイの画面解像度が、96 〜 120 ppi と高解像度化しているためで、たとえば、作業に使用しているディスプレイが 21.5 インチで、解像度が「1920 x 1080」なら、画素密度は論理上「102 ppi」です。なので、この数値を基準に Photoshop を調整すれば、実物大に近い大きさで表示できるというワケです。

ディスプレイの画素密度に合わせると実物大に近づく
画面解像度とは?
パソコンのディスプレイは、「撮像素子」と呼ばれる小さな電子部品で構成されています。色情報を持つ最少単位のことを「画素」といい、単位は「ドット (dot)」で表します。
画面解像度とは、ディスプレイを構成する「画素」を、1辺1インチあたりにいくつ含ませるかを示す単位「dot/inch (dpi)」で表し、数値が大きくなるほど密度は細かくなり、数値が小さくなるほど密度は粗くなります。画像解像度を示す単位「pixel/inch (ppi)」と概念が同じなので、これらを統一して「ppi (pixel per inch)」が多く用いられています。
【操作方法】
[Photoshop (編集)] メニューから、[環境設定] → [単位・定規] を選択して、[環境設定] ダイアログを表示します。[新規ファイル解像度のプリセット] セクションの [スクリーン解像度] に、初期設定の「72」pixel/inch が設定されていることを確認します。
![[環境設定] ダイアログで [スクリーン解像度] を確認](https://psgips.net/wp-content/uploads/2018/01/p159b_01_01.png)
[環境設定] ダイアログで [スクリーン解像度] を確認
[スクリーン解像度] に適正値を入力して、[OK] をクリックします。適正値は下記の「代表的な画面サイズと解像度による画素密度」を参照してください。
![[スクリーン解像度] に適正値を入力](https://psgips.net/wp-content/uploads/2018/01/p159b_02_01.png)
[スクリーン解像度] に適正値を入力
[表示] メニューから、[プリントサイズ] を選択します。
![[プリントサイズ] を選択](https://psgips.net/wp-content/uploads/2018/01/p159b_03_01.png)
[プリントサイズ] を選択
ドキュメントが、実物の大きさで表示されていることを確認します。

実物の大きさで表示されていることを確認
実際の定規で計測してみよう!
対象のドキュメントを [プリントサイズ] で表示できたら、実際の定規をディスプレイに当てて大きさを測定してみましょう。
作例では、画面サイズが 21.5 インチ、解像度が「1920 x 1080」のディスプレイを使用しているので、その画素密度の適正値「102」pixel/inch を [スクリーン解像度] に設定してみると、ほぼ実物大の表示にすることができました。
代表的な画面サイズと解像度による画素密度
現在使用しているパソコンのディスプレイの適正値は、以下の算式によって出すことができます。
画素密度 =√ (画面の幅^2 + 画面の高さ^2) ÷ 画面の大きさ
画素密度の単位 : ppi / 画面の幅、高さの単位 : pixel / 画面の大きさの単位 : inch
算式による適正値は論理上のものなので、実際には少量の誤差があると思います。Photoshop の [スクリーン解像度] に、算式で求めた「画素密度」を入力して調整してください。
以下の画面サイズに該当しない場合は、ディスプレイの画面サイズと解像度から [スクリーン解像度] を計算できる Web サイトがあります。「画素密度計算」で検索して試してみてください。
12インチ
画面サイズ (inch) | 解像度 (pixel) | 画素密度 (ppi) |
---|---|---|
12 | 1440 x 800 | 137 |
12 | 1440 x 900 | 142 |
12 | 2304 x 1440 | 226 |
12.1 | 1024 x 768 | 106 |
12.1 | 1280 x 800 | 125 |
12.5 | 1366 x 768 | 125 |
13インチ
画面サイズ (inch) | 解像度 (pixel) | 画素密度 (ppi) |
---|---|---|
13.1 | 1600 x 900 | 140 |
13.1 | 1920 x 1080 | 168 |
13.3 | 1280 x 800 | 113 |
13.3 | 1440 x 900 | 128 |
13.3 | 1920 x 1080 | 166 |
13.3 | 2560 x 1600 | 227 |
15インチ
画面サイズ (inch) | 解像度 (pixel) | 画素密度 (ppi) |
---|---|---|
15 | 1024 x 768 | 85 |
15 | 1200 x 1024 | 105 |
15 | 1366 x 768 | 104 |
15.4 | 1280 x 800 | 98 |
15.6 | 1366 x 768 | 100 |
15.6 | 1920 x 1080 | 141 |
17インチ
画面サイズ (inch) | 解像度 (pixel) | 画素密度 (ppi) |
---|---|---|
17 | 1280 x 1024 | 96 |
17.3 | 1920 x 1080 | 127 |
19インチ
画面サイズ (inch) | 解像度 (pixel) | 画素密度 (ppi) |
---|---|---|
19 | 1280 x 1024 | 86 |
20インチ
画面サイズ (inch) | 解像度 (pixel) | 画素密度 (ppi) |
---|---|---|
20 | 1600 x 900 | 92 |
20 | 1680 x 1050 | 99 |
21.5 | 1920 x 1080 | 102 |
21.5 | 4096 x 2304 | 219 |
27インチ
画面サイズ (inch) | 解像度 (pixel) | 画素密度 (ppi) |
---|---|---|
27 | 1920 x 1080 | 82 |
27 | 2560 x 1440 | 109 |
27 | 5120 x 2880 | 218 |
Web 限定の環境下では NG?
[プリントサイズ] は印刷物の実物大を表示するためのものなので、Web 限定の環境下では設定しても意味がありません。
初期設定のままでもいいし、[スクリーン解像度] に適正値を入力、または間違った数値を入力してしまっても、[画面サイズに合わせる] やピクセル等倍表示には影響しません。できれば、使用しているディスプレイに合わせた適正値を設定してください。
![[低解像度で開く] を有効にする](https://psgips.net/wp-content/uploads/2018/01/p159b_03_02b.png)
[低解像度で開く] を有効にする
ピクセル等倍表示に影響するのは、Retina 4K などの高画素密度ディスプレイを使用している場合です。たとえば、Web ブラウザで表示されるサイズが、約半分の大きさになります。これでは困りますね。
どうしても、ピクセル等倍表示でなきゃダメという方は、Photoshop アプリケーションのアイコンを選択し、[ファイル] → [情報を見る] を選択し、[低解像度で開く] にチェックマークを入れてください。高画素密度ディスプレイでピクセル等倍表示が可能となります。