【Photoshop講座】HDR とは、露出を変えて撮影した3〜5枚の画像を合成して、幅広いダイナミックレンジを記録する手法です。暗い部分や明るい部分を、くっきり鮮明にできるので、非現実で不思議な作品に変える技法にも使われています。そんな「 HDR 風」を、一枚の JPEG 画像から、もっと簡単に作り出してみましょう。
写実的な違和感を狙う!
「無理な補正」と呼ばれていたものが、HDR の出現によって幅広いダイナミックレンジを獲得し「表現」に生まれ変わりました。しかし、写実的なイラストのようにも見える技法を特徴付けるものは、明瞭になった陰影の違和感ではないでしょうか。
このような表現なら、何も HDR に限定されるものではありませんよね。Photoshop なら、1枚の JPEG 画像からでも「HDR イラスト風」はつくり出せます。
光量が不足した暗い画像には、粗いノイズが発生しやすいです。そもそも、写真にはノイズがつきものです。HDR イラスト風に限らず、ノイズを軽減するテクニックを身に付けておけば、幅広いシーンで役立ちます。
【操作方法】
素材画像をダウンロードして開きます。素材画像は、[ 幅 : 1920 pixel ]、[ 高さ : 1280 pixel ] 、[ 解像度 : 300 pixel/inch ]、[ カラーモード : RGB カラー ] を使用しています。RAW データで応用する場合は、任意のファイルを [ Camera Raw ] で開いてください。
[ レイヤー ] メニューから、[ スマートオブジェクト ] – [ スマートオブジェクトに変換 ] を選択します。
[ フィルター ] メニューから、[ Camera Raw フィルター ] を選択します。[ Camera Raw ] 操作パネルで、[ ディテール ] をクリックして表示します。
[ ズームレベルの選択 ] で、[ 100% ] 以上の表示倍率を選択します。
[ ディテール ] パネルで、[ ノイズ軽減 ] セクションの [ カラー ] に [ 35 ] を入力します。
[ 輝度 ] に [ 75 ] を入力します。
[ 輝度のディテール ] に [ 60 ] を入力します。
カラーノイズと輝度ノイズ
[ ノイズ軽減 ] セクションの [ カラー ] では、カラーノイズが均一に見えるように調整します。初期設定では、[ 25 ] が設定されています。
[ ノイズ軽減 ] の主な調整は、[ 輝度 ] で行います。数値を大きくしすぎると、輪郭がぼやけて精細さがなくなるので、できるだけ控えめな適正値を探りましょう。ぼやけた輪郭は、[ 輝度のディテール ] でハッキリさせることができます。
[ ディテール ] パネルで、[ シャープ ] セクションの [ 適用量 ] に [ 50 ] を入力します。
ノイズを軽減しながら、ディテールをハッキリさせることができました。
シャープの適正値は?
[ シャープ ] セクションでは、階調の輪郭を強調して、ディテールをハッキリ見せる調整が行えます。シャープは、HDR イラスト風の特徴のひとつではありますが、効果の繊細な部分でもあるので、ここでは標準的な調整に止めておきます。
[ 適用量 ] の初期設定には、[ 25 ] が設定されています。一般的な用途では、25 〜 50 程度が適正値でしょう。