【Photoshop基本操作】商業印刷の場合、RGB カラーの画像は、CMYK カラーへモード変換する必要があります。しかし、CMYK では、色の表現方法が異なり、RGB の色をすべて、再現できるわけではありません。色校正で大幅な修正をしなくて済むように、あらかじめ、[ 色域外警告 ] で確認しておきましょう。
色域外とは何か? を考える
たとえば、明度が同じでも、微妙に異なる色相で、陰影を表した箇所があるとします。その色が CMYK の色域外であったなら、同じ近似色に変換されて、フラットな印象になってしまう可能性があります。
これをトーンジャンプ (階調トビ) といい、商業印刷では、最善の注意を払わなければならないポイントのひとつです。変換前に色域外を確認して、CMYK 変換で最大の効果が発揮できるようにしましょう。
色域外警告を表示する方法
これから行う操作は、RGB カラーから CMYK カラーへモード変換するとき、あらかじめ注意する箇所を知り、改善するための校正機能である、[ 色域外警告 ] を表示する方法です。[ 色域外警告 ] は、CMYK カラーでプレビュー表示して、トーンジャンプを未然に防ぐための調整を行います。
![RGB カラーの元画像 → [ 色域外警告 ] を表示](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_00_01.jpg)
CMYKでプレビューする
素材画像をダウンロードして開きます。作例では、[ 幅 : 1920 pixel ] × [ 高さ : 1280 pixel ] の [ カラーモード : RGB カラー ] を使用しています。

素材画像を開く
photo by P_and_A Internatinal
[ 表示 ] メニューから、[ 色の校正 ] を選択します。
![[色の校正]を選択](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_01_02.jpg)
[ 色の校正 ] を選択
すると、CMYK 変換後の画像がプレビューできます。
![[色の校正]によるCMYKプレビュー](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_01_03.jpg)
再現できる色が少ない!
CMYK カラーは RGB カラーに比べ、再現できるカラースペースが極端に狭いため、その色の近似色に置き換えて表現します。そのため、RGB カラー特有の鮮やかな色は、暗く濁ったような色に、変換される場合があります。

CMYKの色域外を確認する
[ 表示 ] メニューから、[ 色域外警告 ] を選択します。
![[色域外警告]を選択](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_02_01.jpg)
[ 色域外警告 ] を選択
明るく鮮やかな色の、芝生や花の大部分がグレーになりました。
![[色域外警告]によるCMYKの色域外表示](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_02_02.jpg)
[ 色域外警告 ] による CMYK の色域外表示
色域外はどうなる?
[ 色域外警告 ] は、「再現できない色」の領域を知る「目安」で、グレーで表示される部分があると、ダメだと言うものではありません。色域外として表示された領域は、いちばん近い CMYK で変換されます。
しかし、色域外の度合いが大きいと、発色のいい鮮やかな色が暗く濁ってしまったり、同系色の階調が均一になってしまう、トーンジャンプを引き起こします。それらを極力抑えることが、[ 色域外警告 ] の目的です。
彩度を下げて改善を図る
[ レイヤー ] パネルで、[ 調整レイヤーを新規作成 ] をクリックし、メニューから [ 自然な彩度 ] を選択して、[ 自然な彩度 1 ] を作成します。
![[自然な彩度1]を作成](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_03_01.jpg)
[ 自然な彩度 1 ] を作成
[ 属性 (プロパティ) ] パネルで、[ 彩度 ] のスライダーを左側へドラッグします。
![[彩度]のスライダーを左側へドラッグ](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_03_02.jpg)
[ 彩度 ] のスライダーを左側へドラッグ

彩度を落とすとグレーの表示領域が小さくなる
[ 属性 (プロパティ) ] パネルで、[ 彩度 ] のスライダーを右側へドラッグします。
![[彩度]のスライダーを右側へドラッグ](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_03_03.jpg)
[ 彩度 ] のスライダーを右側へドラッグ

彩度を上げるとグレーの表示領域が大きくなる
色域外警告を極力減らす!
[ 色域外警告 ] によるグレーの表示領域は、知覚的に換算された CMYK カラーへ置き換えられます。たとえば、RGB カラーでは表現されていた微妙な階調が、CMYK カラーへ変換されると単調になってしまうこともあります。
その場合、ディテールを優先するなら、特定色系の彩度を下げる調整で改善が図れる場合もあります。わずかな調整でも、グレーの表示領域は大きく変化します。調整の目安は -10% 〜 -15% です。
[ 属性 (プロパティ) ] パネルで、[ 彩度 ] に [ -15 ] を設定します。
![[彩度]に[-15]を設定](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_03_04.jpg)
[ 彩度 ] に [ -15 ] を設定

グレーの表示領域ができるだけ小さくなるように調整する
[ 表示 ] メニューから、[ 色の校正 ]、[ 色域外警告 ] を選択して、それぞれの表示を解除します。
![[色の校正]と[色域外警告]を選択して解除](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_03_05.jpg)
[ 色の校正 ] と [ 色域外警告 ] を選択して解除
[ レイヤー ] メニューから、[ 画像を統合 ] を選択して、[ 彩度 ] を適用します。
![[画像を統合]を選択して[彩度]を適用](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_03_06.jpg)
[ 画像を統合 ] を選択して [ 彩度 ] を適用
色調補正は変換後に!
彩度を少し落とすだけで、CMYK カラーへのモード変換に伴う、トーンジャンプ (階調トビ) を未然に防ぐことができます。色の濁りを取ったり、詳細な色調補正が必要な場合は、CMYK 変換後に行います。
RGB カラーでは、トーンジャンプを補正して、本来、素材が持っている階調を十分に残してから、CMYK 変換することが望ましいです。
CMYKへモード変換する
[ イメージ ] メニューから、[ モード ] – [ CMYK カラー ] を選択します。

警告アラート
CMYK カラーへ変換すると、ウィンドウのタイトルバー表示が、[ RGB ] から [ CMYK ] へ変更されます。


CMYK 変換を確認できる表示部分
現在のプロファイルを反映!
[ CMYK カラー ] に変換するときには、[ カラー設定 ] の [ 作業用スペース ] セクションにある、[ CMYK ] に設定したカラープロファイル、または、詳細設定の内容が反映されます。
シアンで思案する?
CMYK カラーへのモード変換で、いちばん悩まされる色は、深くて鮮やかな青色 ( シアン ) です。RGB カラーでは美しいシアンも、変換後には、単調で色褪せた色になってしまう場合が多いのです。
![[色域外警告]を表示した[カラーピッカー]ダイアログ](https://psgips.net/wp-content/uploads/2021/09/ut068_04_02c.jpg)
[ 色域外警告 ] を表示した [ カラーピッカー ] ダイアログ
これは設定した色が色域外の色であり、CMYK では表現できない色だからです。[ 色域外警告 ] は [ カラーピッカー ] ダイアログでも確認することができます。

フリーのグラフィックデザイナーです。カタログ、ポスター、パッケージなど様々な分野に携わってきました。